愛されて A N G E L (青) (ページ31)

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Angel.31(MURAKAMI) ページ31

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トントントンと包丁で刻む音が聞こえて目が覚めた。

ベッドには俺しかおれへん。

「いったぁ……」

昨日寝る前に飲んだアルコールのせいで少しだけ頭が痛むんやけど、いつまでも寝てられへんと思って起き上がる。

章「あ！しんちゃんやぁ、おはよぉ」

リビングに行くとペタンとソファーに座ってぬいぐるみを抱きしめとるヤスがおった。

「ん、おはようさん」

錦「村上くんおはよう」

ピョコッとキッチンから顔を出した亮は今日も芸術的な寝癖。

錦「あ、起きて早々悪いんやけど、“あれ”見たってくれへん？」

亮の“あれ”ですぐにヤスのズボンを見る俺は
だいぶ勘がええ方やと思うで。

章「ほぇ？」

「お遊び中ごめんやで」

不思議そうに俺を見つめとるヤスの股の部分を少し触ると、
懐かしい感触が手に伝わる。

章「しんちゃん、えっちぃ！」

「えっちちゃう、ちょっとここにころーんしてや」

無意識に“ころーん”って言うてもうたのもきっと昔の名残。

パンツかおむつか……

迷った挙句、俺は新しいおむつを用意してん。

章「なにするのぉ？」

今から何をされるのかわかってへんヤスの気を引くために、
ソファーの下に落ちていたクマのぬいぐるみを渡す。

「ええよって言うまでじっとしとくんやで」

昨日の晩に一回やってるからか、そう手こずることもなく無事に替えてあげることができた。

章「まだぁ？」

「おっしゃ、もうええで」

腕引っ張って起きあがらせたると、
ちょうどいいタイミングで亮の朝ごはんが完成した。

章「うわぁ！うさぎさーん！」

うさぎのりんごに興奮して、うさぎみたいに飛び跳ねるヤス。

「ほんま亮は器用やなぁ」

俺はこんなことよぉやれへんから、素直に尊敬してまう。

錦「章ちゃん、ごはんを食べる前はなんて言うんやっけ？」

「いただきまぁす！」

気に入っとる青色のフォークを使って
元気に食べ始めてくれたんはええんやけど……

錦「やっぱ、こうなるねんなぁ」

昨日と同じようにちゃんと口に入れることができてへんねん。

見てるこっちがむず痒なって、

「やったろうか？」

って言うても、“できるもん”とフォークを渡してくれへん。

亮がやりたいようにさせようやって言うもんやから、
そっと見守ることにした。