愛されて A N G E L (青) (ページ30)

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Angel.30(NISHIKIDO) ページ30

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眠い目を擦って隣を見ると、
俺と村上くんに挟まれて眠る章ちゃんが泣いていた。

「章ちゃん、章ちゃん」

心配になってもうて、優しく声をかける。

章「ん、………りょお？」

「そうやで、怖い夢でも見たんか？」

目についた涙の粒を指で拭ってあげながら聞いてみると、

章「……ｯ、しょーちゃっ、の、あおがなかったぁ」

俺の首に手を回して抱きついてきたかと思ったら、
大きな声で泣き始めた章ちゃん。

「ん？青がなかったん？」

章ちゃんを膝に乗せて涙で引っ付いたふわふわの髪の毛をそっと掻き分けてあげる。

章「おはなさんっ、とんでいってな、ばいばいってっ…」

章ちゃんの説明があまりにも拙すぎて、
なかなか理解するのに苦しむ。

でも、一生懸命伝えようとしてくれてるから、
俺も一生懸命耳を傾けてあげるねん。

章「ひとりぼっちやの….」

そう言うと、さっきよりも強く俺に抱きついた章ちゃん。

「え？章ちゃんは1人ちゃうよ、みんながおるやろ？」

章「ううん、しょーちゃん、ひとりぼっちやのぉ」

よぉ分からへんけど、寂しくなるような夢を見たんやなってことはなんとなく伝わった。

「大丈夫やで、俺らは章ちゃんを置いていったりせぇへん」

少しでも不安な気持ちが飛んでいきますようにって気持ちを込めて、ぎゅっと抱きしめれば、安心したのか泣き止んでくれた。

章「…………亮、ありがとう」

「え？章ちゃん？」

また聞こえた……

大人の章ちゃんの声。
びっくりして、顔を覗き込む。

章「んぅ？」

キョトンと俺を見つめる章ちゃんの表情は幼かった。

章「しょーちゃん、おなかすいたぁ」

また、気のせいやったんかな……

お腹が空いたって言いながら咥える章ちゃんの指を外して、大倉たちが買ってきたらしいおしゃぶりを口に突っ込む。

「朝ごはん作ったるから、少しだけええ子にしといてな」

ソファーにぬいぐるみを置いてその隣に章ちゃんを下ろした。

そういえば、さっきおむつの確認せぇへんかったな……

キッチンに立って思い出してもうたから
ご飯食べさせてからでええかと思って急いで朝食を作る。

チラッと章ちゃんをみるとやっぱり幼くて、
俺が聴いた幻聴は一体何やったんやろうって考えてた。