Angel.11(SHIBUTANI) ページ11
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スヤスヤ寝息を立てて眠るヤスの隣にそっと座る。
いつも通りの寝顔に見えるねんけど、
章「ん、」
完全に子どもになってんねやろうなってわかるのは、無意識に咥えてるこの親指やねん。
渋「……頼むで……起きんといてや」
そろーっと指を外したろ思うて、慎重にヤスの手を持つ。
よし、もうちょっとや……
ゆっくりゆっくり抜いていって後少しやってなった時、
章「んん、」
いきなりモゾモゾ動きだしてもうて、一瞬焦る。
「おまっ、それ俺の指やって……」
気がついた時にはもう手遅れ。
器用に掴まれたまま、俺の人差し指はヤスの口の中へ入っていた。
「もー、どないすんねん」
これが普通のヤスならおもっきし引っ叩いてんねやろうけど、
こんな状態やから今日は怒ったりできひん。
右手を取られて身動きできんもんやから、
ヤスに向かい合う形で、ベットの中に入って添い寝をする。
章「んふふ」
楽しい夢でも見てんねやろう……
むにゃむにゃと嬉しそうに微笑むヤスは天使のようにかわええ。
思わず空いてる方の手で、金髪の頭を優しく撫でた。
「ふぁぁ」
そんな寝顔をにつられて、眠くなってしまった俺は、
気がついたらそのまま夢の中に吸い込まれとってん。
「あれ…？」
パッと目が覚めた時に隣を確認するとヤスが居らへん。
でも寝落ちしてもうてそない時間は経ってへんはずやねん。
「やす……ちゃうわ、しょ、章ちゃ〜ん？」
ベットから出て、廊下に出るとシクシクと泣く声が聞こえた。
章「ふぇｯ……うぇぇん」
「おーい、どないしてん」
電気もつけんと真っ暗やからなんも見えへんねん。
そっと泣いてる声を辿っていくと……
「え、なんか冷たい……」
水みたいなもんが溢れてて、気がつかんと踏んでしまった。
でも、恐らくこれは水ちゃうねん。
なんとなく察してしまって、手探りに廊下の電気をつける。
章「いやぁｯ」
パチっと明るくなると、水溜りの中で泣いとるヤスと目が合った。
トイレまではあと3メートル。
間に合わへんかったんやな………
「そない泣かんでええよ、着替えてまお？」
章「しょーちゃ、おきがえせぇへんのぉ……ｯ」
体育座りしたまま頑なに立ち上がらへん。
どないしよう……
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作者名：まある | 作成日時：2022年6月5日 0時
