血祭りの…

7: バッキー・バーンズ ページ7

『バッキー、腕枕って知ってる？』


腹が痛いと言って早々に布団に入ってしまったA。

その横に座って彼女の腹をさすっていたら、謎の質問をされた。


「知ってる。

けど、…どういう質問だよ？」


『いや、質問っていうか…。

遠回しに腕枕して欲しいって伝えたくて』



遠回しじゃ無くなってないか？


そんなボケをかますAに胸がきゅうっとなる。




体調が悪いAが望むこと、求めるものをなんでも与えてあげたい。


「いいよ」


俺がそう言うと彼女はベッドの片端によって、俺が横になれるようなスペースを作った。


『腕、痺れるんだったらやめていいからね？』


自分の腹が痛いはずなのに俺の腕を気遣うA。


好きだな、と思うけど口には出せなくて頭をわしゃわしゃと撫でた。




彼女の隣に寝転んで、


「どうぞ」


と右腕を差し出せば、Aは『失礼します』なんて言って頭を乗せた。


右腕から伝わるAの重みと温もりに幸せを感じる。


こんな風に胸が満たされるなんて、ウィンターソルジャーだった頃には考えもしなかった。


布団の下でAが左手を絡ませてくる。


『ひんやりしてて気持ちいいね』


彼女は俺のメタルアームに触れるたびにそう言って笑う。


彼女のその笑顔が俺がこの腕でやってきたことを許してくれるようで、目頭が熱くなる。


誤魔化すように彼女の額に唇を押し付けると、『口には？』なんて言ってくるからたまらない。


いつも俺に平穏を与えてくれてありがとう。

そんな気持ちを込めて、そっと彼女の唇に唇を重ねた。

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