4-30.ぶりっ子ちゃんの感銘 ページ31
間髪入れず、夏目先輩は夢野先輩に絡みに行く。ブロックの指示通り、全力でぶりっ子しながら。
「洋くん洋くぅん聞いて聞いて〜っ!」
「どうしたんだい海馬ちゃん」
「あのねぇ〜、海馬すーぱーしょっく! 今日の古典の小テストでね〜、20点満点中3点だったのぉ! がびーんっ! 事前にたっくさん、10分、いや1分くらい勉強したのにぃ……。もしかしてぇ、海馬ってぇ、おバカしゃんなのかなぁ……?」
「うん」
「ひどおおぃっ! ひどい洋くぅううんッ! 泣いちゃうもん海馬っ! そんなことないよってよしよししてくれるまで泣き止まないもーーーんッ!!」
「うわ夏目がいつにも増して面倒くさい奴になった、逃げろ逃げろ」
忽然と夢野先輩の姿が消えた。消えていた、という方が適切か。大きな瞬きもせず目の前でじっと見ていたのに、いつ消えたのか分からない。夏目先輩はいつものことだと諦めたのか、今度は蘭ちゃんに迫った。
「蘭ちゃ〜ん! 蘭ちゃんは〜ワンワン派? ニャンニャン派?」
「え、えっと……一応、犬飼ってるので、ワンワン派です……あっもちろん猫も好きです」
「わぁ〜い海馬もワンワン好きだワン♪ 凛子さんは〜どっちがしゅき?」
「両方とも特別な感情はありません」
「や〜ん凛子さんってば万物斉同〜♡」
どれだけ心臓に毛が生えているのか、夏目先輩は……と感服させられる中、少しだけ、泉先輩の様子に引っかかりを覚えた。
不愉快なら顔を背けるなりして視界に入れないよう努めるはずなのに、ずっと夏目先輩のことを凝視している。冷たいけれど、どこか興味のあるような目で……。
「海馬先輩、正気に戻ってください! ほら、
もりりん先輩に止められ、ハッとした。わたしを見て、再度ハッとした。
「ご、ごめんよ百恵ちゃん……! 決して! 決してぶりっ子を馬鹿にしたわけじゃないんだ、すごく真剣にやったんだ。これは本気の本当です!」
なぜ夏目先輩が謝るのか分からない。わたしは、ももえがおで今の気持ちを伝えた。
「夏目先輩のぶりっ子、とっても刺激的で素敵でしたぁ♡ よーし、もえたんも負けてられませ〜んっ!」
とリボンを締め直してみせると、たちまち夏目先輩も笑顔に。
「ヤッターッ本職に褒められちゃった! じゃあずっとこのままでいようかなぁ♡」
「いや可及的速やかに永久封印して」とカーテンからひょっこり顔を出した夢野先輩であった。
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やま(プロフ) - 更新待ってます!! (2021年9月19日 18時) (レス) id: 0eb68c7075 (このIDを非表示/違反報告)
柚子 - もえたん可愛いですね!私自身、ぶりっ子の事が嫌いまでとはいかないけど少し苦手意識があったんですが、この作品を読んでぶりっ子への意識が変わりました!ありがとうございます!これからも更新頑張って下さい!! (2021年8月24日 1時) (レス) id: 12dcb448c9 (このIDを非表示/違反報告)
夜瑠 - 面白くて、『一周回ってぶりっ子を許せる小説』から一気見しちゃいました!!皆大好きです!!次の更新楽しみにしてます!! (2021年7月19日 19時) (レス) id: ef33b3228d (このIDを非表示/違反報告)
桜夜桜もち - こんな一生懸命で可愛いぶりっ子なんて許す以外に方法あります…?! (2021年7月17日 15時) (レス) id: 54667db88c (このIDを非表示/違反報告)
豆の字(プロフ) - リカさんさん» ありがとうございます!!お楽しみいただけてとっても嬉しいです!これからもぶりっ子の可能性を発掘していきます!偏見や先入観だけで片付けるには、あまりにももったいない逸材なので……! (2021年7月16日 18時) (レス) id: dee9e908a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:豆の字 | 作成日時:2020年3月30日 18時