3-35.ぶりっ子ちゃんの染色 ページ36
そして夜。着々と素材が集まり、そろそろパワーポイント作りに本腰を入れるのだが――。
わたしは頭を悩ませていた。
完成しつつある蘭ちゃんの原稿のおかげで、スライドに打ち込む文言には悩まなくてもいい。問題は、わたしの壊滅的なセンスだった。
外灯に吸い寄せられる蛾のように、何もかも桃色を選んでしまうのだ。さらにフォントは幼さを感じさせる過剰に丸っこいデザイン。テーマに合わせたと言えば聞こえはいいが、流石に悪趣味だ。第一、見づらい。そう酷評しながらも、これを一瞬でも良しとしてしまう自分が恐ろしかった。間違いなく、わたしを流れるぶりっ子の血が濃くなっている。じわじわと。音もなく。
内なるもえたんを宥めすかしながら、ネットで出てきたオススメの少し質素なデザインに変更し、スライドのぶりっ子色を薄めていく。
そんな修正作業に熱中していると、微振動とともにスマホに通知が届いた。
『亜久亜りうむちゃんねる が動画を投稿しました。』
りうむちゃんからだ。待ちに待った、存外早かった、質問返答動画が完成した知らせ。作業を中断し、スマホに釘付けになる。
「やっほーワタシの可愛いお魚さんたち♪ 亜久亜 りうむだよぉ〜」
りうむちゃんのあどけない笑顔。これだけで一日の疲れが流れ落ち、水を得た魚のように泳げる気分になる。
前回同様、背景もジンベーくんたちもお祝いモードだった。
「質問箱を設置して、お魚さんの声を募った結果、なんと！ たっくさんの質問やご意見が届きました〜！ 本当にありがとう♡ 一度には返しきれないので、今回をその1として、数パートに分けてお送りいたします♪ では早速、質問返答……の前に！ 新しい仲間を紹介するね♡」
そう言うなり、すっと立ち上がって画面に消える。次に現れた時、とんでもなく大きなぬいぐるみを体いっぱいに抱えてテーブルの前に戻ってきた。
「シロナガスクジラくんだよぉ♡ みんなぁ、仲良くしてあげてね♪」
他の仲間たちが米粒に見えそうなほどの巨体。テーブルに乗っけてしまうと、もうどっちが主役か判別がつかない。そんなシロナガスクジラくんの後ろに隠れると、「ヨロシクネェ〜」とジンベーくんより低く間延びした声が上がる。これがシロナガスクジラくんの声にあたるのだろう。
夢中になって彼の胸ビレと握手を交わしたり、頭部を撫でたりして可愛がるりうむちゃんは、なんだか羨ましくなるくらい幸せそうに頬を緩ませていた。
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やま(プロフ) - 面白いです、笑っちゃいました。 (2021年9月19日 13時) (
レス) id: 0eb68c7075 (このIDを非表示/違反報告)
無気力に自信が有る人 - あ、真白と同一人物です！ (2021年7月25日 17時) (レス) id: 19b8beddf0 (このIDを非表示/違反報告)
無気力に自信が有る人 - 思わず笑っちゃいました！しかも、なんか余計にクラスの人に�猜僂陛朖瓩辰道廚錣譴修Δ覆海箸鬚錣兇錣供帖帖帖帖�この小説凄く面白いです！ (2021年7月25日 17時) (レス) id: 19b8beddf0 (このIDを非表示/違反報告)
豆の字(プロフ) - 真白さん» ぶりっ子についてプレゼンする人なんてそうそういないですよね（苦笑） (2021年7月16日 18時) (レス) id: dee9e908a6 (このIDを非表示/違反報告)
豆の字(プロフ) - Rukia (ゆっくりゆる)さん» ありがとうございます！！一人一人の登場人物をこんなに丁寧に見てくださって本当に嬉しいです！（いつか名前も覚えていただければ大変恐縮です！）りうむちゃんのことも好きになってもらえて嬉しいです、ぜひ推してあげてください！ (2021年7月16日 18時) (レス) id: dee9e908a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：豆の字 | 作成日時：2019年12月7日 15時
