3-32.ぶりっ子ちゃんの糸口 ページ33
「でも、諦めきれなくて！ そうだ、七味もかけてしまえば苦みと辛みでうまいこと中和するんじゃないか！？ って七味も一緒にかけてみたんですけど……。苦いわ辛いわで地獄絵図でした。あれほど完食が苦痛だった親子丼はないよ。……はい、そんなわけで！ 今回もお便りをいただいているので、お返ししたいと思います！」
録音の準備をする。わたしのお便りは読んでもらえるだろうか。
「最初は〜、ペンネーム『夏目海馬(本物)』さんから！？ いや嘘つけ！ 誰だよ！ ここに本物いるから！」
これはわたしではない。
「えっと、『小さい頃によくしていた遊びは何ですか？』……あ、内容は普通でよかった。小さい頃の遊びか〜。うーん……あっ！ 『マジカル少女☆かなえちゃん』ごっこですね！」
予想だにしなかった単語が飛び出し、蘭ちゃんと衝撃を受けた。もっと衝撃的だったのは、無意識に録音開始ボタンを押していたこと。
「みなさん知ってるかな？ 王道の魔法少女ものの作品なんですけど、妹がどハマリしてたので、よくかなえちゃんごっこに付き合ってました。妹がかなえちゃん役で、おれは妖精役だったり悪役だったり、一人何役もあてられてたな〜。最初は作品をあまり知らないまま付き合ってたんだけど、でもそれはかなえちゃんファンへの冒涜だなって反省して。漫画を読破して、アニメも全話視聴して、映画も一緒に見に行って、とにかくかなえちゃんごっこの質を上げることに没頭してました。そうそう、特に妖精のドリミンの声真似が得意だったんですよ！ ちょっと聞いてもらっていいですか？」
軽く咳払いをしてから、力強く言った。
「かなえちゃん、今だミン゛ッ！」
めちゃくちゃ似ている。あの死にかけのカエルみたいな声。まんまドリミンだ。蘭ちゃんも感嘆の声を漏らしていた。
「で、妹はずっとかなえちゃん一筋だったんですけど、突然その友達のひめのちゃんのことも好きになり始めたんです。ひめのちゃんはちょっとあざとい系で、よくかなえちゃんにちょっかいをかける子なので、へー意外だなーなんでって聞いてみたんですよ」
ひめのちゃんはわたしたちが考える一周回って許せるぶりっ子。すなわち、妹さんのぶりっ子の見解が聞ける。わたしは耳を傾けた。
「妹はね、言い過ぎた時は『ごめんなさい』、助けてもらった時は『ありがとう』って素直に言えるところが好きなんだって」
ああ、それは。
とても単純なのに、案外難しいことだ。
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やま(プロフ) - 面白いです、笑っちゃいました。 (2021年9月19日 13時) (
レス) id: 0eb68c7075 (このIDを非表示/違反報告)
無気力に自信が有る人 - あ、真白と同一人物です！ (2021年7月25日 17時) (レス) id: 19b8beddf0 (このIDを非表示/違反報告)
無気力に自信が有る人 - 思わず笑っちゃいました！しかも、なんか余計にクラスの人に�猜僂陛朖瓩辰道廚錣譴修Δ覆海箸鬚錣兇錣供帖帖帖帖�この小説凄く面白いです！ (2021年7月25日 17時) (レス) id: 19b8beddf0 (このIDを非表示/違反報告)
豆の字(プロフ) - 真白さん» ぶりっ子についてプレゼンする人なんてそうそういないですよね（苦笑） (2021年7月16日 18時) (レス) id: dee9e908a6 (このIDを非表示/違反報告)
豆の字(プロフ) - Rukia (ゆっくりゆる)さん» ありがとうございます！！一人一人の登場人物をこんなに丁寧に見てくださって本当に嬉しいです！（いつか名前も覚えていただければ大変恐縮です！）りうむちゃんのことも好きになってもらえて嬉しいです、ぜひ推してあげてください！ (2021年7月16日 18時) (レス) id: dee9e908a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：豆の字 | 作成日時：2019年12月7日 15時
