3-30.ぶりっ子ちゃんの夢幻 ページ31
あんまりこそこそしていると怪しまれるかもしれないので、蘭ちゃんにFINEでメッセージを送ってから、階段の踊り場で待つことにした。
ひたすら気を揉みながら帰りを待ち侘びる。すると、急に背後に気配を感じた。
男の子だった。背が低い方であるわたしと同じくらいの小さな子だ。何というか、どう形容してもしっくり来ない不思議なオーラを纏っていた。
人よりも、生気が薄いような。その子の周りだけ、別世界の空気が流れているような。目が合っているはずなのに、どこかわたしを認識していないような気がして。後ろで壁にもたれてぼーっとしていた。
わたしは落ち着きなく振り返って、男の子の姿を確認した。何度見ても彼は「いる」のだが、どうも自信が持てないのだ。まるで夢のような曖昧な感じ。
「百恵ちゃん……！」
そんなことをしているうちに、蘭ちゃんが無事に帰ってきた。
「蘭ちゃん！ お疲れ様ぁ♡ どうだった？」
「な、なんとか……。二年生の人、みんな優しくて、たくさんの人が協力してくれたの」
見せてくれたメモ帳は、どのページも箇条書きでびっしり埋まっていた。蘭ちゃんはすべての生命力を出し尽くしたような疲れ切った顔でありながらも、どこか晴れやかだった。
「後でまとめてFINEに送るね」
「うんっ！ 本当にありがとう♡ 蘭ちゃんがいれば百人力だよぉ！」
「ううん……百恵ちゃんが応援してくれたおかげだよ」
蘭ちゃんはそう言ってから、わたしの後ろをちらっと見た。男の子のことが気になるのだろう。
やがて予鈴が鳴った。そろそろ教室に戻ろうとした、その時だった。
「はぁーーーッ！！？」
喧噪をも貫通する怒号が、下の階から上がったのだ。
あそこは三年生の階だ。何やら口論をしているようだ。発言内容までは分からないが、ひとりが何かに激して、それをひとりが宥めている様子。そしてもうひとりの微かに聞こえる穏やかな声は怒りをぶつけられている相手だろう。いずれも男子だ。
「またやってる」
男の子が呆れ笑いをした。茫然とする中、最後の大きな怒声が飛んできた。
「お前の説明、分かりやす過ぎてムカつくんだよ！」
呼び止める声を振り切って、バタバタバタと忙しい足音が遠のいていく。
わたしと蘭ちゃんは顔を見合わせた。多分、わたしたちは同じ人物を思い浮かべている。そして何気なく振り返ると、思わず声を上げた。
「あっ」
男の子がいない。数秒前までここにいたのに。
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やま(プロフ) - 面白いです、笑っちゃいました。 (2021年9月19日 13時) (
レス) id: 0eb68c7075 (このIDを非表示/違反報告)
無気力に自信が有る人 - あ、真白と同一人物です！ (2021年7月25日 17時) (レス) id: 19b8beddf0 (このIDを非表示/違反報告)
無気力に自信が有る人 - 思わず笑っちゃいました！しかも、なんか余計にクラスの人に�猜僂陛朖瓩辰道廚錣譴修Δ覆海箸鬚錣兇錣供帖帖帖帖�この小説凄く面白いです！ (2021年7月25日 17時) (レス) id: 19b8beddf0 (このIDを非表示/違反報告)
豆の字(プロフ) - 真白さん» ぶりっ子についてプレゼンする人なんてそうそういないですよね（苦笑） (2021年7月16日 18時) (レス) id: dee9e908a6 (このIDを非表示/違反報告)
豆の字(プロフ) - Rukia (ゆっくりゆる)さん» ありがとうございます！！一人一人の登場人物をこんなに丁寧に見てくださって本当に嬉しいです！（いつか名前も覚えていただければ大変恐縮です！）りうむちゃんのことも好きになってもらえて嬉しいです、ぜひ推してあげてください！ (2021年7月16日 18時) (レス) id: dee9e908a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：豆の字 | 作成日時：2019年12月7日 15時
