3-22.ぶりっ子ちゃんの現実 ページ23
ページをめくるごとに、「もえたん」とC太郎の距離が段々縮まっていく。そして、あと一歩でゴールというところで、事件が起きた。
久々に登場したB子は、「もえたん」を体育館裏に呼び出した。
「あんたの人生、ぶっ壊してあげる！」
懐からカッターナイフを取り出す。わたしはてっきり「もえたん」が切りつけられると思って、無意識に身構えながらスクロールした。
――ところが、B子が切ったのは、「もえたん」ではなく自分の腕だった。
「キャーーー！」
B子の悲鳴に、クラスメイトがすぐさま駆けつけてきた。あれほどB子を無視していたのに。
「『もえたん』ちゃんが、いきなり私の腕をカッターで切ってきたんですぅ！」
ふぇえええ、とわざとらしく嘘泣きをするB子。その瞬間、クラスメイトは急に人が変わったかのように「もえたん」を批難し始めた。
「『もえたん』ちゃん、そんなことしたの？」
「見損なったよ」
「サイテー」
「もえたん」は必死の弁解を試みるが、まともに取り合ってもらえない。ここで初めて、「もえたん」の心理描写が挿し込まれた。どうして？ 私はやってないのに。どうして誰も信じてくれないの？ どうして誰も味方になってくれないの？ ……という、濡れ衣を着せられた嘆きだった。
クラスメイトに手のひらを返され、天使が絶望に堕ちかけた、その時。「もえたん」の救済が始まった。
C太郎が助けに来た。「もえたん」のことが心配で影で見守っていたC太郎はその時の状況を撮っていたらしく、クラスメイトに「もえたん」の身の潔白を証明した。
真相を知ったクラスメイトは「もえたん」に謝った。そしてまもなく「もえたん」とC太郎は結ばれ、みんなに愛されながら物語の幕が閉じた。
一方どん底に落ちたB子の結末はというと、「転校した」というたった一言しか語られなかった。
――わたしは大きな間違いをしていた。
探しても、ひとつも無かった。B子の長所。読者を惹き付ける魅力。当然だ。そもそも用意されていないから。最後までB子は、生みの親である作者にさえ愛されなかった。
最初から、B子を人間として見てはいけなかったのだ。なにしろ彼女は、「もえたん」とC太郎をくっつけるためだけに作られた、ただの舞台装置なのだから。
他も漁ってみたが、誰もぶりっ子を傷つけず、またぶりっ子も誰かを傷つけない作品を見つけることは出来なかった。
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やま(プロフ) - 面白いです、笑っちゃいました。 (2021年9月19日 13時) (
レス) id: 0eb68c7075 (このIDを非表示/違反報告)
無気力に自信が有る人 - あ、真白と同一人物です！ (2021年7月25日 17時) (レス) id: 19b8beddf0 (このIDを非表示/違反報告)
無気力に自信が有る人 - 思わず笑っちゃいました！しかも、なんか余計にクラスの人に�猜僂陛朖瓩辰道廚錣譴修Δ覆海箸鬚錣兇錣供帖帖帖帖�この小説凄く面白いです！ (2021年7月25日 17時) (レス) id: 19b8beddf0 (このIDを非表示/違反報告)
豆の字(プロフ) - 真白さん» ぶりっ子についてプレゼンする人なんてそうそういないですよね（苦笑） (2021年7月16日 18時) (レス) id: dee9e908a6 (このIDを非表示/違反報告)
豆の字(プロフ) - Rukia (ゆっくりゆる)さん» ありがとうございます！！一人一人の登場人物をこんなに丁寧に見てくださって本当に嬉しいです！（いつか名前も覚えていただければ大変恐縮です！）りうむちゃんのことも好きになってもらえて嬉しいです、ぜひ推してあげてください！ (2021年7月16日 18時) (レス) id: dee9e908a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：豆の字 | 作成日時：2019年12月7日 15時
