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1-16.ぶりっ子ちゃんの馬鹿 ページ17




 わたしはテストでもぶりっ子を貫いた。いや、貫いてしまった。この件に関しては本当に見当違いの大失態をおかした。

 結果から言えばわたしはバカのなり方を間違えた。

 笑いのセンスがあると褒められるようなおバカになりたかった。動画で参考にしたぶりっ子のような天然系のお茶目なおバカになりたかった。

 そんな可愛いおバカになるために……わたしは勉強をやめてしまった。予習も、復習も、小テストの勉強も、すべてほっぽりだした。そうすれば、授業中の珍回答の質が上がると思った。

 その行為こそが真のバカだった。
 
 そんなとんでもないことをすればどうなるか。
 ただの無教養なバカになるだけだ。

 地頭的な賢さと、学力的な賢さは少し違う。笑えるバカというのは、バカと天才は紙一重というように、バカだけど思わず丸を付けたくなるほどセンスを感じる、そんな秀逸な回答を繰り出す人をいうものだ。そのセンスは、ただ学力を捨てるだけでは手に入らない、天性のものだ。

 そもそもお笑い芸人は高学歴が多い。おバカ的な笑いもあれば、反対に知的な笑いだってある。

 それに気づくのが遅かった。学力という学生にとっては尊いものを捨てて、丁寧に「お」なんて付けられない、バカの二文字に成り果ててしまった。

 今までのわたしは根は真面目であったから、両親に心配されない程度の成績をキープしてきた。その平均的な成績を――努力を――いとも容易く手放してしまった。

 まもなく期末テストがやってきた。結果はズタズタのボロボロだ。どれもこれも赤点すれすれの落ちこぼれ顔負けの点数を叩き出した。もちろん、両親に心配された。けれど怒られなかった。両親はただただわたしの高校生活を心配していた。まさに大谷先生と同じ反応だった。どうしてこうも思いきり叱りつけてほしいときに限って優しいのか。例によって罪悪感に蝕まれた。

 こうしてわたしは、朝戸衣百恵は、奇しくもぶりっ子人生を手に入れ、数々の大切なものを失いながら、高校一年生の一学期の幕が下りたのだった。

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酔風 - 面白かったです…夏目先輩かっけぇ!萌ちゃん許せるどころかファンになりそう…。続編読んできます(`・ω・´)ゞ (2021年7月25日 10時) (レス) id: d8696aafac (このIDを非表示/違反報告)
夜瑠 - 夏目せんぱぁああい!!いつか、いつか言紡高校に入学してもいいですかっ!?!? (2021年7月19日 17時) (レス) id: ef33b3228d (このIDを非表示/違反報告)
彩華 - 初めまして!こんな小説を求めていました!この小説を読んだ方が、ぶりっ子=悪女とかでは無くて、ぶりっ子は一つの個性なんだなって思ってもらえると良いですね!ももたんめっちゃ好きです!頑張ってください〜! (2021年7月17日 15時) (レス) id: da4daeacca (このIDを非表示/違反報告)
桜夜桜もち - 「ふんぬぁぁああ゛ぁあ゛ァあッ!゛!」  握力計ったときのこれ好きですwwwwwww (2021年7月17日 14時) (レス) id: 54667db88c (このIDを非表示/違反報告)
豆の字(プロフ) - 真白さん» ありがとうございます!!確かにぶりっ子の言動を見ていると、自分にも思い当たる節があったり……なんてことが自分にもあったりしました(笑)「ぶりっ子のふり見て我が振り直せ」ですね(汗)夏目先輩を好きになってもらえてすごく嬉しいです! (2021年7月16日 18時) (レス) id: dee9e908a6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:豆の字 | 作成日時:2019年9月9日 17時

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