僕は異世界に迷い込んだ ページ4
朝日が昇るのと同時に、僕は目が覚めた。
僕は寝つきのが速く、起きるのも早い。この体質のお蔭で、学生生活の時は寝坊で遅刻したことなんかなかった。まだ少しだけ暗い部屋の中を歩いて、ハンガーに掛けてあった服に手をかける。着替え終えたら、即鎌を持って庭に突入だ。
「あ、Aさん」
縁側から、綺麗なソプラノの声が良く通った。
「おはよう、そうびちゃん」
「ごめんなさい、朝早くから草むしりを頼んで……」
「いやいや、朝早い方が暑くなくていいでしょ。それに僕、今は居候だしね」
衣食住を保障されているのに、働かなかったらただのヒモだ。いや別に、彼女とはやましい意味で一緒に暮らしているわけではない。
念入りに言っておく。これは一応、空想話だ。
だから、今から僕が綴ることに、驚かないで聞いてほしい。
かいつまんで言おう。
僕は、異世界に迷い込んでしまった。
きっかけは、少女がバターのことについて知らなかったことから。その時の僕の驚きようを言葉に表すならば、食べていたスコーンの欠片が口に収まらずポロリと床に落ちてしまった、と言えば判るだろうか。多分、傍目から見ればかなりの間抜け顔だったと自負出来る。
『あなたは……珍しい服装をしていますね。ひょっとして、外人さんですか?』
見目麗しい美少女が、上目づかいで聞いてくるものだから、記憶の半分が吹き飛びそうになった。それをこらえて、彼女が何を言っているのか改めて考える。
そもそも、この服はポリエステル繊維の、フードが付いた、至って普通の服だ。それを、彼女は「珍しい服」と言った。
そう言えば、と僕は思う。彼女が来ている渋い風合いの着物は、明治が大正の頃なんかにありそうな着物だと。初めてこの建物を見た印象も、明治が大正の頃の建物だと思ったじゃないか。ひょっとしたら僕は、小説や漫画みたいにタイムスリップしたのかもしれない。
何だ。もう子供だから迷わないと思ったのに、早速知らない路地裏を通ったら時代を超えての迷子かよ。
大体のあたりを付けて、僕は最終確認として、今何年ですか、と聞いた。
『え? 今は二〇一四年、大正八九年ですよ』
……どうやら僕は、タイムスリップしたわけじゃなく、次元を超えての迷子のようだった。
その後、僕は一度帰路を辿ろうとしたが、異世界を超えての迷子だもの。たどり着くわけがなかった。
- 金 運: ★☆☆☆☆
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The Freedom.(プロフ) - 火矢 八重さん» はい、頑張って下さい! (2014年4月20日 21時) (レス) id: b11641b752 (このIDを非表示/違反報告)
火矢 八重 - The Freedom.さん» 忘れませんよ、あの作品でたった一人コメントしてくださったんですから!w うお!? 期待されてる私!? じゃあどしどし作品作らないと!! コメントありがとうございますた! (2014年4月20日 20時) (レス) id: fc178a757e (このIDを非表示/違反報告)
The Freedom.(プロフ) - 火矢 八重さん» あ、覚えていてくれたんですね!嬉しいです!いやあ、覚えて無いかな〜と思って一応初めましてからにしたんですよね…;;また他の作品も沢山見に行きますね! (2014年4月20日 20時) (レス) id: b11641b752 (このIDを非表示/違反報告)
火矢 八重 - The Freedom.さん» うお!? 五か条読んでくださった方ですね!? こちらの作品も読んでくださりありがとうございます!! 私も、この後腐れないあっけらかんとした終わりが気に入っているので、凄く嬉しいです! こちらこそ、ほんとうにありがとうございました!! (2014年4月20日 19時) (レス) id: fc178a757e (このIDを非表示/違反報告)
The Freedom.(プロフ) - 初めまして!完結おめでとうございました( ´ ▽ ` )。作者さんのこの作品、読むたびに惹きこまれていきます。個人的に終わり方が特に好きです。素晴らしい作品を読ませて頂き、ありがとうございました! (2014年4月20日 19時) (レス) id: b11641b752 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:火矢 八重 | 作成日時:2014年2月15日 20時