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「僕は何も知らなかった……という言い訳が通じるとは思っていない。だけど、どうか、教えてくれないだろうか」
……頭では判っている。僕はここで聞くべきじゃないことも、多分そうびちゃんにとって、もう触れたくない事実であることも、薄々と感じる。
判っているのに、何故聞いてしまうんだろう。
自分の口は、本当に、自分の意思とは関係なく動いてくれる。本当、僕はダメなやつだ。
案の定、謙三君は怒りの表情を見せ、桃花ちゃんは戸惑った顔をした。
そりゃ怒るか、と心の中で苦笑し、罵倒を甘んじて受けようと覚悟した時だった。
「……そのことは、俺から説明させてくれ」
書斎の出入り口から、直太さん……いや、そうびちゃんのお父さんがやって来た。
■
そうびの母親もまた、別の世界の住人の、栄養学者だった。ひょんなことでこの世界に来てしまい、館山直太に求婚され、この世界に居つくことになった彼女は、そうびをもうける。
そうびが作るお菓子作りは、実の母親から教わったものばかりだ。
そうびは習った通りに料理やお菓子を作る。そうびはそれで満足だった。
けれどある日、直太が仕事先で買ってきたガトーショコラを食べて、そうびは衝撃を受けた。
自分や母親が作ったものとは、違う。それどころか、こっちの方が美味しい。
好奇心旺盛な彼女は、何故こんなにも味が違うのかを理解する為に、片っ端からレシピの本を漁った。
そして彼女は、バターの存在を知った。
彼女が母親から習ったものは、豆乳と、菜種油で作るものだったのだ。バターを使ったらあの味を再現できるのではないかと考えたそうびは、こっそり一人で作ることにした。
オーブンを使う時は、お母さん呼んでね、という言いつけを破って。
怒られることは承知だった。それでも「美味しい」と言ってくれるとそうびは信じた。母親は、そういう人だったから。
「美味しいものは、どんなときであろうと美味しく頂く」それが料理に対する礼儀だと、母親はしょっちゅう繰り返していた。栄養学者らしい彼女の言い分であろう。
そうびの考え通り、母親からはこっぴどく怒られたものの、彼女は「美味しい」と言って食べてくれた。「今度は、お母さんと一緒に作ろうね」と頭を撫でて。それがそうびにとって、嬉しかった。また作ろうと、心の中で決心した。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
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The Freedom.(プロフ) - 火矢 八重さん» はい、頑張って下さい! (2014年4月20日 21時) (レス) id: b11641b752 (このIDを非表示/違反報告)
火矢 八重 - The Freedom.さん» 忘れませんよ、あの作品でたった一人コメントしてくださったんですから!w うお!? 期待されてる私!? じゃあどしどし作品作らないと!! コメントありがとうございますた! (2014年4月20日 20時) (レス) id: fc178a757e (このIDを非表示/違反報告)
The Freedom.(プロフ) - 火矢 八重さん» あ、覚えていてくれたんですね!嬉しいです!いやあ、覚えて無いかな〜と思って一応初めましてからにしたんですよね…;;また他の作品も沢山見に行きますね! (2014年4月20日 20時) (レス) id: b11641b752 (このIDを非表示/違反報告)
火矢 八重 - The Freedom.さん» うお!? 五か条読んでくださった方ですね!? こちらの作品も読んでくださりありがとうございます!! 私も、この後腐れないあっけらかんとした終わりが気に入っているので、凄く嬉しいです! こちらこそ、ほんとうにありがとうございました!! (2014年4月20日 19時) (レス) id: fc178a757e (このIDを非表示/違反報告)
The Freedom.(プロフ) - 初めまして!完結おめでとうございました( ´ ▽ ` )。作者さんのこの作品、読むたびに惹きこまれていきます。個人的に終わり方が特に好きです。素晴らしい作品を読ませて頂き、ありがとうございました! (2014年4月20日 19時) (レス) id: b11641b752 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:火矢 八重 | 作成日時:2014年2月15日 20時