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視野は広いが大雑把な部分があるので、必要な時以外はその視野の広さを発揮しようとしない。なので普段は相手の細かい心情を察する努力をしようとせず、雑で的外れな言葉をかけてしまったりする。見極めようと思えば感情の機敏を理解することもできるが、それは何故かしない。恐らくそれも彼の正義の中に理由があるのだろう。悩んでいる相手に少々乱暴な言葉を投げかけたりするが、それでもそれ以上深く傷つけるような言い方はしない。そこは間違えない。相手の気持ちを察しようとしない…というか察しようとする必要がないと思っているので、伝えたいことはちゃんと口にして欲しいと本人は思っているし、それを相手に言ったりもする。なので基本的に素直でさっぱりとした性格の人間を好んでいる。思ったことを真っ直ぐ伝えてくれるわかりやすい人間との会話の方が楽なのだろう。
大雑把で少々乱暴な所作が目立つこともあるドン。その行動や加えて見た目のせいで「脳筋」だなんだと勘違いされやすいが、勘違いしないで欲しい。実は彼は、見た目からは考えられないほど賢く頭のよく回る、怜悧な頭脳を持ったとんでもない切れ者なのである。成績についても勿論優れてはいるのだが、それとは違う部類に入る頭の回転の速さがある。賢さは努力では手に入らない、生まれ持ったものでしかない。それを運良くドンは受け取っていた。何らかの計画を緻密に練ることはお手の物、カードゲームでも何にしても、くるくると恐ろしい速度で回る脳みそによって次々と正解が打ち出される。特に口喧嘩は負けなしであり、討論などでは尚更である。互いに言い合ったり、意見や証拠をぶつけ合ったりする場面で敗北したことはまずない。その気になればいっそ鬱陶しくなるほど、開いた口が止まらなくなるのだ。
その口の上手さが現れるのは、真面目な場での討論か、もしくはドンに理不尽に絡み気に触ることを言い続ける輩が出てきたときか、それかドンの正義を否定し自分の意見をしつこく押し付けて来る輩に対してくらいである。討論については喧嘩とは違うので、笑みを浮かべながらだったり余裕のあるいつも通りの態度ですることが出来るが、残りの二つは違う。少なからずドンの怒りに触れなければその状況にはならないので、その時のドンは酷く冷めて苛立ったような表情をする。語気が普段よりも荒くなるし、相手を黙らせるために開かれた口は止まらない。何があっても敵に回したくない人間である。
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