化け物が百二十ニ匹。 ページ35
「嫌なのか？」
「ッ〜そういう話じゃねェだろ？！」
「そういう話だろ。お前が行くって言えばそれですむんだ。……大体、なんで躊躇うんだ？No.2ヒーローの事務所だぞ？普通ならまず行けないし、こんな経験二度と出来ない。お前にとって悪い話じゃないだろう」
ペラペラと今日はよく喋るなァ、と苦し紛れに出た言葉は、話を逸らすなという返しで呆気なく躱される。
そりゃ勿論、俺にとっちゃ悪くない話だ。むしろすげェうまい話。
指名が一つも来てない俺は雄英が予めオファーしといたっつークソつまんなそうなとこから選ばなきゃいけねェ。んなのダリィし時間の無駄だし、サボる気満々だった。でもエンデヴァーのとこに行けるってんなら話は別だろ？No.2ヒーローの事務所なら、行く価値はある。
……轟と行動しなきゃいけねェってのが気に入らねェが。
「あ、もしかしてお前エンデヴァーアンチか？」
「……違ェわバーカ」
エンデヴァーに限らずヒーロー全員嫌いだし。
それを言ったら面倒くせェことになりそうだったから、無理矢理飲み込んだ。
「じゃあなんなんだよ」
心底わからないという目で俺を見る轟に、俺は告げた。
「うまい話だからだ」
「は？」
「俺にとってはうまい話だ。でもそれでオマエはなんの得をするんだよ」
あんだけ嫌ってたエンデヴァーのとこを、コイツはわざわざ選んだ。それはスタートラインを踏んだコイツが、前に進もうとしてるってことで。
その行動に俺がいても邪魔なだけだろうが。
「……」
「何を企んでる？俺に借りを作っとこうっつー作戦か？なら残念だったな、俺は借りを作るのが大嫌いなんだよ」
「……」
「図星か。ハッ、ザマァ見ろ」
「お前って、本当に馬鹿なんだな……」
轟はポカンとしながら呟いた。
「あァン？！なんだ急にテメェコラぶっ殺すぞ！！」
「勘違いするな。この話はお前のために言ってるわけじゃねぇし、お前だけがいい思いをするわけでもねぇ」
「……じゃあオマエに何の得があるんだよ」
答えられなければ、それは嘘ってことだ。
俺がじっと轟の目を見つめると、ソイツも俺の目を見つめ返す。
「俺は前言った通り母さんと会って話した。母さんは、俺を驚くほどあっさり許してくれたよ。……これで、俺はやっと全力でヒーローを目指せる。そう思った」
「なら、」
「あぁ。これで準備は整ったんだ。俺個人が、スタートラインを踏む準備はな」
「……あ？」
轟はぽんぽんと自分の肩を叩いた。
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名前決まらないドン(プロフ) - 戻ってくる事を祈って待っております (2019年5月11日 13時) (
レス) id: 54f25622c3 (このIDを非表示/違反報告)
あげあげ！ - 主人公のツンツンデレ具合がちょうど良すぎて死にそう(吐血) (2018年7月16日 23時) (レス) id: 94845ca325 (このIDを非表示/違反報告)
●龍●(プロフ) - うふさん» あなた様にこの小説が読み返されていることがとても幸福です！確かにみんな格好良いですよね…！ (2018年7月14日 13時) (レス) id: 5b64b63f06 (このIDを非表示/違反報告)
うふ - 読み返すたび毎度思う、全キャライケメン。 (2018年7月12日 3時) (レス) id: 54f25622c3 (このIDを非表示/違反報告)
●龍●(プロフ) - 餅原 葵さん» 初めまして、コメントありがとうございます！一之瀬君が人気でとても嬉しいです…！そう言っていただけて本当に有難いです！更新頑張らせていただきます！ (2018年7月3日 18時) (レス) id: 5b64b63f06 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：●龍● | 作成日時：2017年12月25日 19時
