化け物が百十一匹。 ページ24
教室を出てから俺もクソワカメも一言も喋らない。二人分の足音だけが響く重苦しい居心地の悪すぎる時間が続き、これからのことを考えて俺の気分もどんどん重くなっていく。
「……ここだ」
するとその時間に終止符を打つようにクソワカメが呟き、ふいと俺の方を振り返った。どうやら部屋に着いたらしい。
だが俺が何も言わずにギッとクソワカメを睨んでいると、またため息を吐いてソイツは部屋のドアを開けた。
ぎぎっと鳴り開いたそのドアは校長室のよりも明らかに厚くできていて、さっきコイツが言ってた防音性ってのは本当なんだと気づく。
でもまだ信用できねェ。部屋の中には俺ら以外の誰かが座ってるかもしれねェ。
そう考え警戒しながら部屋を覗くと、いい加減にしろとドアを開けたまま待っていたクソワカメが呆れたように俺の頭をはたいた。
「テメェ！何しやがんだよ！！」
「いいから早く入れ。心配しなくてもこの部屋には俺とおまえしかいないよ」
「ッ〜！」
全く痛くはないが、叩かれたことに腹が立ってまたクソワカメを睨む。そして部屋の中に誰もいないことを自分でちゃんと確認してからしぶしぶ部屋に入った。
その瞬間、バタンと厚いドアがゆっくりでかい音を立てて閉まる。
反射的にクソワカメの方を振り向くと、ソイツは真剣な表情で俺を見て、ガチャリと後ろ手に部屋の鍵を閉めた。
「これで、これからの話の内容は正真正銘俺とおまえしか知らない。知ることができない」
「！」
「おまえにとっても最高の環境の筈だ。もう文句はないな？」
窓が一つもない部屋。出入り口はドア一つだけ。
部屋には真ん中に机が一つ。その両側、ドア側と壁側に椅子が一つずつ。
今俺がいるのは部屋の壁側。ドアの前に立ってるのはクソワカメ。
あ、と気づいたときにはもう遅い。
クソワカメは俺の逃げ場を無くすように、部屋の唯一の出入り口の前を陣取って椅子に座っていた。
「どうした。おまえも早く座れよ」
「……！！」
「……さ。話をしようか一之瀬」
やられた。
もう逃げられねェ。
目の前に座って俺をじっと見るクソワカメに、俺はギリリと唇を噛み締めた。
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名前決まらないドン(プロフ) - 戻ってくる事を祈って待っております (2019年5月11日 13時) (
レス) id: 54f25622c3 (このIDを非表示/違反報告)
あげあげ！ - 主人公のツンツンデレ具合がちょうど良すぎて死にそう(吐血) (2018年7月16日 23時) (レス) id: 94845ca325 (このIDを非表示/違反報告)
●龍●(プロフ) - うふさん» あなた様にこの小説が読み返されていることがとても幸福です！確かにみんな格好良いですよね…！ (2018年7月14日 13時) (レス) id: 5b64b63f06 (このIDを非表示/違反報告)
うふ - 読み返すたび毎度思う、全キャライケメン。 (2018年7月12日 3時) (レス) id: 54f25622c3 (このIDを非表示/違反報告)
●龍●(プロフ) - 餅原 葵さん» 初めまして、コメントありがとうございます！一之瀬君が人気でとても嬉しいです…！そう言っていただけて本当に有難いです！更新頑張らせていただきます！ (2018年7月3日 18時) (レス) id: 5b64b63f06 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：●龍● | 作成日時：2017年12月25日 19時
