化け物が百十四匹。 ページ27
「ッ〜！！」
自覚した途端に込み上げてきた苦しさに一刻も早く酸素を取り込もうと口を開き、だが予想以上に入ってきたソレに思わず激しく咳き込む。
「げほげほっ、かは、ッ」
「あんま吸いすぎんなよ。過呼吸になる」
「ッんなの、言われなくても、！は、はっ、」
「そうだ。ゆっくりな」
いつもはボソボソ喋るせいで聞こえ辛いその声が、何故か今はよく耳に流れた。
クソワカメの上からの言い方が癇に障って荒く息を吐きながら噛みつくが、ソイツは完全にスルーして言葉を続ける。
「〜クソッ！！」
そして俺は耐えきれなくなって、自分の顔を机に叩きつけた。
「…………何やってんだ？」
躊躇なく叩きつけた顔面に、骨と机の硬いモン同士がぶつかるかなり良い音が部屋に響く。
急な俺の行動にクソワカメは呆れ半分、困惑半分の声で俺に聞いてきた。
「……」
だが俺はそれを無視し、顔を伏せたまま机の上にある手を強く握り締める。
だってしょうがねェだろ？この状況を見ろよ。
クソワカメの言葉一つにアホ見てェに動揺する俺と、さっきから表情も変えねェで相変わらずの声で対応するコイツ。
ほら見ろ、なんてザマだ。
こんな馬鹿みてェにわかりやすく反応しちまってよ、これじゃもうクソワカメの質問を認めたようなもんじゃねェか。あー最悪だ。コイツが何を言うかなんてのは想像できてたはずなのに。なんだよショックで息止めるって。何やってんだ俺。
自分の惨めさとか何やらに嫌気がさした俺はヤケになり、考えるのを止め無言を貫くことにした。
「おい」
「……」
「おい一之瀬」
「……」
「無視か」
黙り続ける俺にクソワカメは今日何度目かわからないため息をつくと、一拍置いた後、話し始めた。
「……俺はこういうのが苦手なんだ。悩みを聞くとか、慰めるとか、そういう人情的なもんが」
「……」
「もともと人を教育するのに向いてない人間でな。昔マイクにも言われた。おまえってつくづく教師向いてねぇよなって」
「……」
「ああそうだ。俺は教師に向いてない。俺は13号みたいな上手い助言は言えないし、オールマイトさんのような人を導く力も持ってない」
話が読めねェ。コイツは何が言いてェんだ。
表情がわからないせいで余計に掴みづらい話の内容にもどかしさを感じながら、俺はただ黙り続ける。
てかなんだこういうのって。俺はコイツに悩みを相談したわけでも慰めを求めたわけでもねェぞこのクソ野郎。
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名前決まらないドン(プロフ) - 戻ってくる事を祈って待っております (2019年5月11日 13時) (
レス) id: 54f25622c3 (このIDを非表示/違反報告)
あげあげ！ - 主人公のツンツンデレ具合がちょうど良すぎて死にそう(吐血) (2018年7月16日 23時) (レス) id: 94845ca325 (このIDを非表示/違反報告)
●龍●(プロフ) - うふさん» あなた様にこの小説が読み返されていることがとても幸福です！確かにみんな格好良いですよね…！ (2018年7月14日 13時) (レス) id: 5b64b63f06 (このIDを非表示/違反報告)
うふ - 読み返すたび毎度思う、全キャライケメン。 (2018年7月12日 3時) (レス) id: 54f25622c3 (このIDを非表示/違反報告)
●龍●(プロフ) - 餅原 葵さん» 初めまして、コメントありがとうございます！一之瀬君が人気でとても嬉しいです…！そう言っていただけて本当に有難いです！更新頑張らせていただきます！ (2018年7月3日 18時) (レス) id: 5b64b63f06 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：●龍● | 作成日時：2017年12月25日 19時
