化け物のスタートライン。 ページ50
灰になった包帯を手でぱっぱと払うと、爆豪は初めて見る一之瀬の素顔を見て呟いた。
「なぁ。俺は、相澤からてめぇの個性の話を聞いたって言ったよな？」
「……あ？」
「気づかねぇか？あの人はとっくに、お前の個性が何なのか気づいてんだよ」
「っ？！」
「でも相澤はお前を怖がっても、気味悪がっても、殺そうなんてことも考えちゃいなかった。
……これがどういう意味かわかるだろ」
一之瀬は息を呑んだ。
「う、そつけ」
「俺がこんな嘘つくと思ってんのか」
「ッ口だけだ！実際に見たらどうせアイツらみてェに、」
「言っただろ。俺たちと他のザコどもを一緒にすんじゃねぇ」
「〜っ！！」
一之瀬の心は揺れている。
ぐらぐら、ぐらぐら。
あともう一押し。
「だいたい、てめぇレベルの人間に怯えるモブ野郎がヒーローになんてなれるわけねぇし、ましてや雄英に受かるはずねぇんだ」
「っ……」
「はっ、今更いくらてめぇが化け物ぶろうったって無駄だぜ。俺に無様に負けたてめぇの最高にダセェところが今、全国に放送されてんだからなぁ！」
爆豪は立ち上がると、両手をひらひらと上に向けて振る。
そして、座り込んでいる一之瀬を見下ろすと堂々と言い放った。
「てめぇの過去がどうとか、何を抱えてんのとかはよ。心底どうでも良いんだよ」
「…………」
「でもな。てめぇはヒーロー目指してんだろ？だからここに立ってんだろ？」
ならよぉ！
爆豪は右手を真っ直ぐ上に掲げ、BOOM！！とパフォーマンスのように派手に空気を爆破させる。
そして挑戦的な笑みを浮かべ、言った。
「＿＿＿＿ンなもん、さっさと乗り越えてこいや。
それがてめぇの、スタートラインだろ」
「…………！！」
その瞬間、爆風で一之瀬の髪がぶわっと揺れた。
バチバチと火花が散り、細かい火の粉が体に降りかかる。
「……なんだよソレ」
でもそんなことは気にならなかった。
ただただ爆豪の燃えるような瞳が、強さに満ちた表情が、目に焼きついていた。
「バッカじゃねェの」
一之瀬はあの日以来初めて、自然な、柔らかい笑顔を見せた。
それは一瞬だったが、確かに、化け物が人間になり始めた瞬間だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1946人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
研磨LOVE - お話も面白く、絵もNAOKIさん……最高すぎます！これからも更新頑張ってください！ (2018年3月17日 8時) (
レス) id: 35f41412ab (このIDを非表示/違反報告)
ホタル(プロフ) - イラストがっ…！！素敵すぎます！！ (2017年12月25日 23時) (レス) id: e79370225b (このIDを非表示/違反報告)
●龍●(プロフ) - 本題ですが、この小説は続編に行きます！話数の関係でお知らせできなかったので、失礼ですがここでさせていただきました！もしまだ付き合っていただけるという方がいらっしゃれば、後もうしばらくお付き合いください！ではまた！ (2017年12月25日 20時) (レス) id: 5b64b63f06 (このIDを非表示/違反報告)
●龍●(プロフ) - 皆様、いつもいつも暖かいコメントを本当にありがとうございます！皆様のコメントのおかげで、ここまで来ることができました！本当にありがとうございます！！そして返信できなくてすみません！ですがきちんと一つ一つ大事に読ませていただいているのでご安心下さい！ (2017年12月25日 20時) (レス) id: 5b64b63f06 (このIDを非表示/違反報告)
プリン - ふオォォォォォォォォォ！絵うますぎる(真顔) かっちゃんかっこいい！！更新頑張ってください！！応援しております！！ (2017年12月24日 0時) (レス) id: 4588ab3ba5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：●龍● | 作成日時：2017年8月6日 17時
