化け物が八十一匹。 ページ42
『あの女の様子なら嘘を吐いていることはないと思いますが、一応確認をと』
「…………」
『あの、もしもし？』
「……本当に声を返したんですか？その女は」
『確証はありませんが、僕はそう思っております。
！……まさか、まだその少年は喋れていないのですか？』
警察の声のトーンが僅かに高くなり、早口になる。
それを感じた相澤は、ある男の言葉を思い出した。
＿＿『一之瀬少年、喋ろうとしなかったんだよ』
「……」
相澤は気づいた。
『相澤さん！教えて下さい！あの子に声は返ってきていないのですか！』
「いや、すみません。声は返ってきているんですよ。恐らく」
『は、』
「あいつは声を出すことを諦めたんです。だから喋ろうともしない。喋れることにも気づかない」
本当に馬鹿なやつですよ。
そう吐き捨てると、相澤はくるっと回り今歩いてきた道をまた戻り出す。
そして動揺している警官に言った。
「用事ができたので切りますね」
『え、あ、待ってください！まだ話は』
「後でかけなおします。
……大丈夫です。一之瀬は俺の生徒ですから」
パタンと携帯を閉じると、相澤は校内を走り始めた。
＊
一時間後。
昼休憩が終わり、トーナメント表が発表された。
「あァ？」
爆豪は自分の名前を探し、そして対戦相手を見て眉をつり上げる。
爆豪という名の隣に並んでいたのは、一之瀬という三文字だった。
「秒殺だな」
爆豪は軽く言い放つ。
爆豪は勝利を確信していた。
「……チッ、つまんねぇ」
だがそれと同時に、物足りなさを感じていた。
それは爆豪が、一之瀬の実力を認めていたからだった。
身体能力の高さも、タフさも、気の強さも。
爆豪は全て認めていた。
一之瀬が他の人間と戦っている姿を見て、自分も戦いたいと思った。
あのギラギラした目を見ると、腹の奥底がグツグツと疼いた。
完膚なきまでにぶちのめしてやりたいと思った。
確かに今日、爆豪は一之瀬と戦う。
だが爆豪が望む一之瀬は、今の一之瀬ではない。
求めているのは、自分に臆さない、異常なまでに争いに執着する獣のような姿の一之瀬だった。
間違いなく、今の何もかも諦めたような目をする男じゃない。
「……チッ！」
爆豪が再び大きく舌打ちをし、控え室に向かおうとしたその時。
「爆豪、ちょっと来い」
「？！」
急に現れた相澤が、爆豪の首根っこを掴み歩き出した。
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研磨LOVE - お話も面白く、絵もNAOKIさん……最高すぎます！これからも更新頑張ってください！ (2018年3月17日 8時) (
レス) id: 35f41412ab (このIDを非表示/違反報告)
ホタル(プロフ) - イラストがっ…！！素敵すぎます！！ (2017年12月25日 23時) (レス) id: e79370225b (このIDを非表示/違反報告)
●龍●(プロフ) - 本題ですが、この小説は続編に行きます！話数の関係でお知らせできなかったので、失礼ですがここでさせていただきました！もしまだ付き合っていただけるという方がいらっしゃれば、後もうしばらくお付き合いください！ではまた！ (2017年12月25日 20時) (レス) id: 5b64b63f06 (このIDを非表示/違反報告)
●龍●(プロフ) - 皆様、いつもいつも暖かいコメントを本当にありがとうございます！皆様のコメントのおかげで、ここまで来ることができました！本当にありがとうございます！！そして返信できなくてすみません！ですがきちんと一つ一つ大事に読ませていただいているのでご安心下さい！ (2017年12月25日 20時) (レス) id: 5b64b63f06 (このIDを非表示/違反報告)
プリン - ふオォォォォォォォォォ！絵うますぎる(真顔) かっちゃんかっこいい！！更新頑張ってください！！応援しております！！ (2017年12月24日 0時) (レス) id: 4588ab3ba5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：●龍● | 作成日時：2017年8月6日 17時
