夜歩き ybin ページ14
ノンリアル 中学生
優等生なやぶいの
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外から窓を叩く音がする。見れば、悪い顔で笑うあいつがいた。
「悪いな」
「いいよ、どうせ日課だし」
行くぞ、って差し出された手をきゅっと握って、スニーカーを突っかけて外に出る。
23時50分、俺にとっては立派な非行の開始だ。
去年の6月に、誕生日プレゼント、なんて言われて渡されたのは「なんでも言うこと聞きます券」と書かれた紙切れだった。
端の方に印字されたアルファベットが見えるから、3限で使った英語のプリントの切れ端で作ったらしい。
「俺が直々にお前の願いを叶えてやるぞ」
安上がりだな、って言ったけど有り難く貰っておいた。
それを見て薮がやたら満足そうにしていたのを、なんとなく覚えている。
早いもので、あれからもうすぐ1年が経つらしい。
「お前さあ、あれいつ使うの」
生徒会室で急に口を開いたかと思えば、そんなことを聞いて来た。
部活も引退して、勉強漬けになるかと思ったが、成績に難のない俺たちは、放課後に此処にたむろするようになっていた。
あれ、と言われても急には思い出せなくて、怪訝な顔をしていたら、誕生日プレゼント、と不機嫌そうに付け足された。
「あ、まだ使ってなかったっけ、」
とぼけた返事をしたら、大きくため息をつかれた。超心外なんだけど。
だって、なんでも言うこと聞きます、っていわれたって。
今更薮に聞いて欲しい願いなんて思いつかねーよ、
と言いたいところだけど、実はひとつだけ、無いこともない。
俺をお前の一番大事な人にして欲しい、
っていう、あまりにも自分勝手なお願いが。
でも、流石にこんな可能性のない願いを、ペラッペラな紙切れ一枚に託すのは男が廃る。
そういうわけで叶えて欲しい願いなんて、ちっとも思いつかないのだ。
「奢って、とかそんなんでもいい?」
「は?却下」
もっと希少感のあることにしろ。って、なんでもじゃないだろ、それ。
じゃあ、
「じゃあ、ちょっと、わるいことしたい」
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かじ(プロフ) - 佐々木さん» コメントありがとうございます。とっても嬉しいです。拙い文ですが、楽しんで読んでもらえたら幸いです。 (2018年7月5日 0時) (レス) id: cc9d60b609 (このIDを非表示/違反報告)
佐々木 - すぺてのお話がキュンキュンします。次のお話も楽しみにしています。 (2018年7月3日 21時) (レス) id: e2f78d2bae (このIDを非表示/違反報告)
琳(プロフ) - 特にことばにできないが大好きです!伊野尾くんが幼い感じのおはなし待ってますね、、、 (2018年6月27日 22時) (レス) id: fb58b76c4a (このIDを非表示/違反報告)
かじ(プロフ) - 琳さん» はじめまして。ご丁寧に感想をありがとうございます。恐縮です。拙い文ですがこれからも読んでいただけると嬉しいです^ - ^ (2018年6月27日 22時) (レス) id: 76a26e19db (このIDを非表示/違反報告)
琳(プロフ) - かじさんはじめまして!いつも楽しく読ませてもらってます!!すごく大好きなお話ばかりで更新が楽しみで仕方ないです(*´∀`*)これからも頑張ってください! (2018年6月27日 21時) (レス) id: fb58b76c4a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かじ | 作成日時:2018年6月17日 23時