さよならの季節 ytin ページ24
卒業の日
卒業するいのおくんと一個下のゆうとくん
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明日になれば、俺と君を繋ぐものは、もうなにもなくなる。
進学も早々に決まり、とうとう迎えた卒業の日。
長ったらしい式が終わり、みんなが別れを惜しむ中そっと輪から抜け出した。
今日がどうしたって最後だってわかってるのに、何にも言えないまま終わりそうで、嫌になる。
大きな肩幅、ふざけてもつれる歩幅。
まだ制服の袖は少し長くて、お下がりなのか鞄は傷だらけ。
恋に落ちてから、君のことを沢山知ることができたけど、それでもまだ知らないことばっかりだっていうのに、今までも、今でさえも、俺はずっと遠くから見ることしかできない。
桜の木の下、部活の先輩なのかな。別れを惜しんで、みんなと語り合う君がいやに綺麗で悲しくなる。
三階の空き教室、終わらない恋の所為で立ち尽くした俺は、君を遠くから見つめるだけ。
見てしまった。
桜の木の下で、俺と一緒に卒業する女の子を、突き放す君のこと。
俺とおんなじ、君のことが好きだったんだろう。
泣きながら去るその子に一瞥もくれず、みんなの方に戻っていった。
何にもなかったみたいに。
ねえ、俺とあの子じゃ、何も違わないよなあ。
わかってる。脈なんてそもそもない。ましてや俺は、男だし。
たまに君を見かけることができたら、それだけで一日中、ベッドの中に潜っても幸せでいられた。
そういう恋だった。
期待しない。可能性なんてない。
わかってるから。
今日で最後だ、って。君の後ろ姿を目に焼き付けるけど。
でも、やっぱり、足りない。
最後まで勇気も出せずに、情けなくて涙が滲んだ。
今日が終わって、明日が来たら。
唯一あった繋がりも、なんにもなくなってしまうんだ。
変わらない肩幅も歩幅も、たまに見られる笑顔も、見飽きることなんて無いのに、何にも見れなくなっちゃうんだな。
「なかじま、くん」
何も言え無いまま。
(続)
song by さよならの季節 / SHISHAMO
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かじ(プロフ) - 佐々木さん» コメントありがとうございます。とっても嬉しいです。拙い文ですが、楽しんで読んでもらえたら幸いです。 (2018年7月5日 0時) (レス) id: cc9d60b609 (このIDを非表示/違反報告)
佐々木 - すぺてのお話がキュンキュンします。次のお話も楽しみにしています。 (2018年7月3日 21時) (レス) id: e2f78d2bae (このIDを非表示/違反報告)
琳(プロフ) - 特にことばにできないが大好きです!伊野尾くんが幼い感じのおはなし待ってますね、、、 (2018年6月27日 22時) (レス) id: fb58b76c4a (このIDを非表示/違反報告)
かじ(プロフ) - 琳さん» はじめまして。ご丁寧に感想をありがとうございます。恐縮です。拙い文ですがこれからも読んでいただけると嬉しいです^ - ^ (2018年6月27日 22時) (レス) id: 76a26e19db (このIDを非表示/違反報告)
琳(プロフ) - かじさんはじめまして!いつも楽しく読ませてもらってます!!すごく大好きなお話ばかりで更新が楽しみで仕方ないです(*´∀`*)これからも頑張ってください! (2018年6月27日 21時) (レス) id: fb58b76c4a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かじ | 作成日時:2018年6月17日 23時