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あー、失敗した。
誰か呼びたいけどマイクもないし、正しい対応をするには遅すぎた。これはお手上げだ。
握り込まれた手は振りほどけそうもないけど、でもどうにかしなきゃ俺がヤバイ。
ぐるぐる打開策を考えているうちに、男の手が俺の脚をやらしく撫でる。
気持ち悪さに膝が震えて、喉が引きつって悲鳴すら上げられない。
おれ、こんなにひ弱だったっけ。って、思考が逸れかけた時だった。
「あんた何してんの」
やまだ、って思わず出た俺の小さな声は、思っていたより震えていた。
脚に触れていた気持ち悪い手は、すぐに捻り上げられて、俺から離れていった。
「ここ、そーいう店じゃねえし。そもそもがっつりカメラに撮られてるからね」
ほら、この手も離せよ。って、綺麗な顔が珍しく怒りに歪んでる。
カメラ、という言葉にハッとして、迷惑な客は腰が引けたように逃げていった。
「あんたもだよ、いのおちゃん」
何好き勝手されてんの、って。
握り込まれていた手首を優しく撫でる。
「やっぱなんかあったのかって心配で。見に来てよかった」
「あ、うん。俺の顔が可愛いばっかりにごめんなぁ」
なんてテキトー言ってみたけど、そんなのガン無視でホッとしたように笑うから、さっきまでの気分も気持ち悪さも全部吹っ飛んで、きゅんきゅんが止まらない。
「あと、ちょっとで上がるから、まってて！」
「当たり前でしょ、買い物してるから早くね」
今日は鯖の味噌煮だよ。って言葉とともに頬を撫でられる。
くすぐったくて幸せで、顔が緩みきっているのがよくわかる。
いつだって困った時は助けてくれて、こんなにグズグズに甘やかされて、愛されているのだ。
何されたって、もうお前じゃなきゃ意味がないんだ。
もうお前以外見えないから、責任取って貰わなきゃ。
(終)
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かじ(プロフ) - 佐々木さん» コメントありがとうございます。とっても嬉しいです。拙い文ですが、楽しんで読んでもらえたら幸いです。 (2018年7月5日 0時) (
レス) id: cc9d60b609 (このIDを非表示/違反報告)
佐々木 - すぺてのお話がキュンキュンします。次のお話も楽しみにしています。 (2018年7月3日 21時) (レス) id: e2f78d2bae (このIDを非表示/違反報告)
琳(プロフ) - 特にことばにできないが大好きです！伊野尾くんが幼い感じのおはなし待ってますね、、、 (2018年6月27日 22時) (レス) id: fb58b76c4a (このIDを非表示/違反報告)
かじ(プロフ) - 琳さん» はじめまして。ご丁寧に感想をありがとうございます。恐縮です。拙い文ですがこれからも読んでいただけると嬉しいです^ - ^ (2018年6月27日 22時) (レス) id: 76a26e19db (このIDを非表示/違反報告)
琳(プロフ) - かじさんはじめまして！いつも楽しく読ませてもらってます！！すごく大好きなお話ばかりで更新が楽しみで仕方ないです(*´∀｀*)これからも頑張ってください！ (2018年6月27日 21時) (レス) id: fb58b76c4a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かじ | 作成日時：2018年6月17日 23時
