維―つなぐ―3

3 ページ3

.








‘頭痛と同時に感じた胸の痛み’








時が止まった気がした







ひとまず検査しないと･･･と思い井上先生のところへ行けば優輔君のことで橘先生も居て一緒に検査室へ向かった







･･･CTを取り終わった時の窓越しから見えた2人の姿は今でも思い出す






そのまま会話もなく今は誰もいないカンファ室に移動し今に至る






「･･･幸い、慢性型でまだ破裂していない。



･･･その前に手術することが望ましいが･･･」







その先は分かっていた







「･･･心臓の手術をすれば、脳に危険が及ぶ。
･･･最悪の場合･･･」






耳を塞ぎたい
聞きたくない






両手で耳を塞ぐようにして膝から崩れ落ちる






橘先生が私を支えるようにして抱きしめてくれていて






その姿を見て井上先生も言葉を止める






気づいたら涙は止まらなくて






震える身体をまた橘先生は強く抱きしめてくれる






井上先生は必死に方法を考えてくれた







上司で、指導医で
･･･父のような存在の2人が今





こうして自分の為に必死になってくれているだけで十分嬉しかった








だけど









『･･･私･･･ｯ









ここで･･･死ぬわけにはいかないんですｯ』









維ぐ為に来たこの病院
知るために来たこの病院








ただ、それしか無かった私の目的







寿命だと･･･
余命だと･･･





諦めていた命を





彼は、



生きる目的を増やしてくれた





‘その約束･･･守らせてはくれないか’






約束を、守る･･･その日まで死ぬわけにはいかない






･･･力尽きてはいけない







そう、思っていたのに









まだ可能性のあったパーセンテージが









もう、






限りなく０に近いんだ

4→←2

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す