ページ ページ9
.
「これは!?」
「クソダサい」
「これ!」
「それホントにいいと思うんなら一回着て全身鏡に映してきなよ」
双子の美的センスは思ったより遥かに壊滅的だった。
努力は微かに見える。
柄モンと柄モンはあまり良くないとか、黒は合わせやすいとかそういう基本的なことは知っていて、実践しているようだが何故か上手くいかない。
本当になんで?って感じの絶妙な組み合わせを持ってくるので、そろそろ諦めた。
時刻は午後4時。
トイレに行って(頻尿)戻ってくる時、それは再び起きた。
「自分大学生?」
突然声をかけられて、二、三秒無視してから私だと気づき、まあいいだろとそのまま無視して前に歩いた。
お察し、ナンパである。
金髪茶髪の大学生集団のようだった。
関西怖いな?
「オイオイオイ、自分や、自分」
前に回り込まれ、無視しようにもできなくて、店まであとちょっとなのにここから他の奴らは見えない。
会計に行ったか。使えないな。
「何歳?」
「アイヤ……えっ、と」
「え?聞こえん」
ずい、と顔を近づけられて、後ろに退く。
「逃げんでやー」
「す、すいません……友達と来てるんで……」
「関東か!どこ県?トーキョー?」
怖いのわかってるんなら帰って欲しいんだが。
あ、とかエ、とかしか言えなくなって、どんどん自分が小さくなる。
ナンパがグイグイくるのでもう一歩後ずさった時。
とん、と背中が壁に当たったように思った。
「コンチハーッ」
「稲荷崎高校でーす」
「ナイサーイッポーン」
「おなしゃすッ」
クソみたいにデカい声で叫び散らすのは、本校自慢のクソデカ四人組だった。
壁だと思ったのは角名らしい。
稲荷崎といったら兵庫どころか関西で「アタオカ進学校」としてある程度名が通っている。
高校受験経験者で知らない奴はいないので、ナンパは図体にも肩書きにもビビって逃げていった。
「助かったが、うるさい」
「礼を言えやチビ」
「どうもありがとうございました……」
「侑やめときな。コイツ今関西人にビビり散らかしてるから」
そう言った角名の後ろから、女4人がひょっこり顔を出した。
「終わった?」
「東の方、"そういう"フェロモンでも出てるん?」
「何が?」
「角名もさっきナンパされとったんよ」
言われた角名は苦い顔で舌を出した。
兎も角、買い物は終わったわけだ。
あとは帰寮のみである。
【教訓】関西都市で一人にならないこと
.
108人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
のどか - こういう恋愛とかじゃなくてほんわか(?)日常を書いた小説大好きです!面白い!! (2022年2月5日 18時) (レス) id: e2bd7f241c (このIDを非表示/違反報告)
にはろ(プロフ) - 佐藤さん» 返信遅くすみません!ありがとうございます! (2021年5月16日 18時) (レス) id: f8ad011ce4 (このIDを非表示/違反報告)
佐藤 - 凄く面白いです!主様のペースで更新頑張ってください! (2021年3月12日 14時) (レス) id: 660f048392 (このIDを非表示/違反報告)
にはろ(プロフ) - れいんさん» お気遣いありがとうございます。頑張ります!! (2021年2月16日 22時) (レス) id: f8ad011ce4 (このIDを非表示/違反報告)
れいん(プロフ) - 前作からたくさん笑わせてもらってます(笑) 無理せず更新頑張ってください。気長に待ってます! (2021年2月16日 20時) (レス) id: 8a090eaaf4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:にはろ | 作成日時:2021年2月13日 13時