崖っぷち。 ページ47
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「賢二郎、このコ前話した及川の妹チャンネ」
「……どうも」
「初めまして、面識あるんですか？」
聞いたら、微妙な顔された。
思わず天童さんを見ると、爆笑している。
大体察して、白布さんに視線を戻した。
彼は苦虫を噛み潰したような顔をして、言う。
「……ことあるごとに煽ってくるから」
「え〜グーで殴っていいのに〜〜」
聞けば推薦を蹴った徹からすると格好の標的らしく、会う度煽られているらしい。
私が殴っておきますね。
「妹チャンは及川に似てないよネ〜」
「私はああはならないって決めてるので」
「確かに、反面教師としてあれよりいい人材はないわな」
恐らく一緒に煽られているであろうセッターの瀬見さんも深く頷いた。
いいぞもっと言え。
そのまましばらく談笑していると牛島さんともう一人、白鳥沢の鷲匠監督がやって来て、背筋が伸びる。
え、なんで来るの無理無理無理。
「どっちだ？周が言ってたのは」
「こっちです」
では、とそれだけ言ってぴゅーんと逃げていくちひろを呆気に取られて見つめる。
気がつけば周りには天童牛島鷲匠とかいう威圧最悪トリオしかおらず、控えめに言ってとてもまずい。
何？阿久津が言ってたのって。
「若利。一本打て」
「はい」
ちょちょちょ、展開について行けない。
何が始まるの。怖いって。無理だって。
「こっち来な」
手招きされて後ろにいる天童さんを振り返る。
ああなんだ彼のことか、と安心していると、頷かれた。
その頷きは何〜？
終いには行け行けと手を振られ、まさに絶望、がけっぷち。
次回「及川死す」。デュ○ルスタンバイ！(酷い)
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作者名：にはろ | 作成日時：2020年6月20日 10時
