ぶりっ子ではない。 ページ36
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そう開き直ってみても、やはり気になるものは気になる。
「何で全員浴衣なの?ここは地獄か何かですか?」
「何なのお前」
「及川が浴衣着ようって言ったんだよ。乱心って感じだったぜ」
「……大変ですね青城バレー部」
今日イチ視線が痛いです。
あっ、そこのひそひそ話してるチャラめのお兄さん方、私はビッチではない。
そこのお姉さん、私はぶりっ子ではないですよ。
体育座りで小さくなる私の耳には、花火の音の合間にあまり良くない単語が聞こえてくる。
私に向けられたものでなくても、そもそもそんな単語でなくても、私にはそう聞こえる。
残念ながらこのあたりは青城生の縄張りである。
当然、青城の生徒がたくさんいる。
しょうがないじゃん男子バレー部よ?
超有名よ?
マネージャーいないのも知られてるよ?
じゃあ強豪男バレっていう男の大集団の中、私は何?
「ただの不審者じゃん……」
「何か言った?」
「国見クン……なんで私には春が巡ってこないんですか?」
「……知るかよ」
「金田一クン……君は何故だと思いますか?」
「は?……及川さんがいるからじゃねえの」
その言葉に少し納得する私がいる。
隣の国見もああ、と声を漏らしていた。
「俺及川さん怖くて中一のはじめお前に近づけなかったし」
「わかる。話した瞬間及川さんに消される気がしてた」
「……恐ろしい話だよ」
まあその頃は徹にあんまり口利いてもらえなかったんですけどね。
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作者名:にはろ | 作成日時:2020年6月20日 10時