黒尾サン。 ページ4
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合宿二日目。
昼ご飯のハンバーグをかけたサーブ勝負に日向と灰羽くんと星が惨敗しているのを見てひとしきり笑ってから、食堂に向かおうと立ちあがる。
すると、声がかかった。
「そこの烏野の女の子ー」
「びっ」
奇声を上げたのはやっちゃんだ。
「んー、金髪じゃない方」
「……あ、私?」
なんかデカくて悪そうなトサカ頭、と日向に言われているせいか、やっちゃんは他人事なのにぶるぶる震えている。
「しっ、死なないで咲ちゃん……!」
「ちょ、仁花ちゃんこそ死なないで!」
彼が殺人鬼か何かだと思っているのか。
何度も此方を振り返りながらやっちゃんは体育館を出て行った。
黒尾さんは胡散臭い笑みを浮かべた口を開く。
「試合中ずっと俺のこと見てるでしょ」
バレてたか、と思いながら頷く。
すると、黒尾さんは少し驚いたように眉を上げて、またニヤリと笑った。
「一目惚れ、しちゃったとか?」
初っ端から面倒臭い人に絡まれてしまった。
まあストーカーばりにじっと見てたのは私なんだけれども。
このトサカ兄みたいだなと思いながら少し考える。
「……レシーブがすごいなと思って」
意表を突かれたような顔をすると、思い出したように黒尾さんは言った。
「そういえば君、マネージャーじゃない?」
「あ、はい、そうです」
「もしかしたらとは思ってたんだよね。昨日澤村にも聞いた。烏野の女バレなんでしょ?」
急に変わった話題に戸惑いながら頷いた。
「ポジションどこ?」
「リベロです」
「だから黒尾サンの素晴らしいレシーブに感動した」
「……まあ、はい」
それだけ交わすと黒尾さんはひらりと手を振って去っていった。
とりあえず及川徹と同じ分類に放り込んだ。
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作者名:にはろ | 作成日時:2020年6月20日 10時