企む。 ページ30
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「A、ちゃん」
「はい?」
「わ、たし、どうすれば、いい、かな……」
難しい質問を受けてしまった。
今は夏休みだから学校で会うことはない。
ただ、今のままで合宿に突入は岩ちゃんに迷惑がかかる。
「……会いたいです?」
「あい、たい……けど、及川君は迷惑かもしれないし……気まずい、かな」
「……そう」
頭を悩ませていると、今週末に恋愛ビッグイベントがあるのを思い出した。
「陽依さん、お祭りの日空いてます?」
「うん、空いてるよ。……及川君と約束してたけど、今はもう、多分無効だし」
その約束、実現してやる。
待ってろよバカップル。
「じゃあその日、私と回りません?気晴らしに。その後でまた考えましょう、ね?」
「……そう、だね。ありがとう」
その後少し話してから、電話を切った。
また別の人に電話をかける。
彼奴、風呂から出るの早いから手短に済ませないと。
「……あ、もしもし岩ちゃん?ごめんね急に」
「いや、いい。どうした?」
電話の相手は岩ちゃん。
悪いけどこの人には多分一生迷惑をかける気がする。
「日曜日のお祭りなんだけど、誰と回る?バレー部無いよね?」
「あー……及川が彼女と別れたってうるさいから松川と花巻と及川で回る」
「え、超ごめん」
既に迷惑は掛かっていた。
本当に申し訳ない。
「あの、徹がこのままで合宿は流石にやばいでしょ?」
「まあ、そうだな。ぶん殴ってでも練習は真面目にやらせるけど」
「頼もしい」
岩ちゃんのたくましさに感動する。
「で、そのことでね、私陽依さんとお祭り回るのね。そんでさ……」
ごめん、という単語を今までで一番使った電話だったと思う。
「……いいぜ。松川と花巻にも言っとく」
「岩ちゃん好き。ほんとにごめんね」
「Aは悪くねえだろ。大変だな」
「お互いにね」
徹に兄を止めてほしいわけではないが、こんな人が兄だったら、とは思わないでもない。
岩ちゃん好き。
じゃあね、と電話を切った。
楽しい祭りになりそうだなあ!(悟り)
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作者名:にはろ | 作成日時:2020年6月20日 10時