ラブコメ。 ページ29
本誌及川微バレ
.
「クッソあの眼鏡言いたい放題言いやがって」
「私たちもう慣れたよね」
「腹は立つけどね」
何故会ったばかりの若僧(※年上)にボロクソ言われなければならないのか。
西の方の正論とはちょっと違うよね。
わかってますわかってますってところをグリグリついてくる感じがとても嫌でしたね。
でもお前セッターの方がいいんじゃね?とかうっかりでも言ってきたら追い出そうと思ってたのにそれだけは絶対に言わないあたりちゃんとわかっててもっと腹立つ。
家につき夕食の席で情報交換(私はほぼ阿久津の愚痴)をして、部屋に戻る。
徹卒業後海外考えてるんだって。すげーな。
布団を敷きその上に寝転んで携帯をいじっていると、電話がかかってきた。
画面には「陽依さん」の文字。大体要件は察しながら、直ぐに出た。
なんだかんだ好きあってるじゃん。
面倒臭いコンビだわ、全く。
「……Aちゃん?」
「陽依さん。徹から聞いてます」
それをどう受け取ったのかは知らないが、陽依さんは少し怯えたように言った。
「ごめんっ……ごめん、なさい」
「ちょっ、ええ、謝らないで……徹が全部悪いみたいなもんじゃないすか」
今、徹は風呂でいないので言いたい放題みたいになっているが、それが事実なのもまた事実。
それでも、優しい陽依さんは全力で否定しにくる。
「ううん、私が悪いの。及川君と付き合うって決めてから分かってたつもりだけど、なんか、もやもやしちゃって……!」
最低だ私、と呟く陽依さんに、あなたのせいじゃないというのはなんだか上から目線な気がして、黙っておいた。
「徹、家に帰るといっつも陽依さんの事ばっかで、最近ホントに元気ないんですよ」
大会近いくせに、という言葉も飲み込んだ。
余計な罪悪感を抱く人だ、陽依さんは。
「前は女の子からのプレゼント、普通に貰ってたけど、陽依さんのこと好きになったぐらいからめっきり持って帰ってこなくなりましたよ。徹、陽依さんのこと大好きなんだと思う、です」
徹の惚気っぷりを話していくと、向こうからは小さく嗚咽が聞こえた。
愛し合ってんじゃねーかなんだよラブコメかよ。
私はラブコメの感動シーンでも見てるんですか?
泣きますよ?
157人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:にはろ | 作成日時:2020年6月20日 10時