アイスクリーム。 ページ26
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「どれがいい?」
「正直好きな人からもらえるんだったらどれでもいい説は出てる」
そう言えば、ぎょっとしたような目で見られた。
え、だってどう考えてもさっちゃんのこと好きじゃんその子。
「自分のプレゼントなんだから自分で選びなよ」
別にプレゼントってわけじゃ、とぶつぶつ言いながらさっちゃんが選んだのは3000円弱のトリュフ。
改めて別の世界の人間だ、と思った。
3000円なんて、高校生がホイホイ出せる金額じゃない。
何かを勘違いした店員さんがちらちらニコニコ此方を窺いながら会計を終えると、さっちゃんと一緒に駅ビルを歩いた。
そのまま出口から出ると思いきや、急に立ち止まるさっちゃん。
そこにあったのは、アイスクリーム屋だった。
座ってろ、と言われ店の前にある席で待っていると、さっちゃんがカップを一つ持って帰ってきた。
1日でどんだけ散財するんだ……?
私の前に持ってきたアイスを置くと、さっちゃんは向かいに座った。
「付き合ってもらった礼」
「え〜ありがとう」
「……ん」
ちょっとめんどくさいけどいい人に惚れたな、と見たこともない女の子に心の中でおめでとうと言う。
「LIME交換しようよ。何かあったら連絡ちょーだい」
「ん」
アイスを食べるのがのろい私にも最後まで付き合ってくれる。
「井闥山どう?」
「JOCのベストセッターいる」
「あ、飯綱掌?さん?」
「ん」
「そういやこの前ウシワカに認知された」
「あっそ」
「身長めっちゃ伸びたね」
「……ん」
「……無愛想は変わんないね」
「うるせえ」
ちょっと、いや大分無愛想だけど。
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作者名:にはろ | 作成日時:2020年6月20日 10時