相談に乗る。2 ページ24
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気づいた瞬間、笑いがこみ上げてきて、思わず吹き出してしまった。
「ハァ???今の笑うとこあった?」
「フッ……いやだって……さっちゃん襲うって……アッハッハッハッ」
ついにこらえきれず声を出して笑う。
実はさっちゃんの狙いには気づいている。
私を家に呼んだ本当の目的というか、本題というか。
ちょっとツボに入ってしまった私にさっちゃんはため息をついて、助け起こしてくれた。
「……そんなんだからアイツらとお前とで差が出るんだよ」
「余計なお世話だぞ!」
アイツら、とは兄たちの事である。
今の一言でやっと笑いがやんで、さっちゃんにド直球に聞いてみた。
「好きな子がいるんでしょ?」
ふい、と視線を逸らしたさっちゃんに、図星か、と笑いを漏らす。
徹カップルをくっつけ(今は別れてるけど)、従姉ちゃんカップルをくっつけ(今度説明する)、今度は幼馴染(といっていいかはわからないけれども)の恋愛相談に乗るのか。
恋愛成就マシーンと呼んでくれ、私には春は来ないけど。
さっちゃんがテレビを一時停止してまたため息をついた。
「……目聡いんだよ」
「春高らへんから様子変だし」
「は?来てたのかよ」
声くらいかけろ、とどつかれる。
さっちゃんが一年生ながら出場した今年の春高、実は受験の息抜きに冬期講習をすっぽかして見に行っていた。
いつもは応援席に目もくれないさっちゃんが、交代中ちらちら井闥山の応援の方に目をやるから何事かと思っていたけど、今日さっちゃんの勉強机を見て確信した。
「捨てられません感丸出しのあのかわいい包み紙とかね」
試合のさっちゃんへの差し入れか、はたまたバレンタインのチョコレートか。
どっちにしても受け取らなさそうなさっちゃんがそれを受け取って、さらにその包装が綺麗にたたんで机の隅に置いてある。
漠然とした予想でしかないけど、どうやら当たっていたようだ。
「……アレ、思わず受け取ったけど……なんか、返した方がいいかな、って」
視線で包み紙を示しながら語尾をすぼめるさっちゃん。
まあ、結論から言えば。
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作者名:にはろ | 作成日時:2020年6月20日 10時