じいちゃんち。 ページ21
微、本当に微本誌バレあり。
.
「あれ、及川は？」
「お祖父さん家行ってから電車で帰って来るって」
「アイツ……熟れてやがる……」
谷地仁花と日向翔陽がバスの中でそんな会話を繰り広げている頃。
挨拶を終えてじいちゃんちを出るのと同時に、隣の家に入ろうとする人が見えた。
そういえば帰って来てるらしいってじいちゃん言ってたな。
思わず名前を呼ぶ。
「あ、さっちゃんじゃん」
井闥山学院の佐久早聖臣。
全国三大エースの一角で、唯一の二年という結構すごい男。
さっちゃん、と恐らく私しか言っていないであろうあだ名で呼べば、ばっとこちらを向き、目を見開いた。
そしてつかつかと此方に歩み寄ってくると、ものすごい目力で睨んできた。
「……どこ行ってた？何してた？」
「怖い怖い怖い怖い」
自然、私が追い詰められる形になって背中が塀につく。
「顔見せないし連絡もつかないしホントに何してたわけ？」
「いや、去年の夏はちょっとごたごたしてて……。受験もあったし。あと、ケータイ変えたらデータ全部とんじゃって」
「は？そんなこと？」
そんなことって何だよ！
あーそうですよねサクサ君は推薦で入ったもんね！
でもさっちゃんの顔が怖すぎて(マスクで隠れてるけど)、そんなことは言えない。
心の中で怒っていると、さっちゃんが深く溜息をついた。
「……心配して損した」
はい出ました私のこと謎に大好きな奴第一号。二号は五色。
「……潔癖症のくせに」
「は？」
「すみませんでした」
それにしてもこんなクソ暑いのに長袖長ズボンマスクなのどういうこと？
こっちが暑いんだけど？
「……見てて暑いが？」
「うるせえ黙れ」
「えー……」
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作者名：にはろ | 作成日時：2020年6月20日 10時
