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恋バナ。 ページ3

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その日の夜。

女子部屋で何故か先輩方と顔を突き合わせていた。


時刻は十時。

全員早めに風呂に入って、寝る準備は万端だった。

初日の恒例らしい、女子トークと言う名の恋バナ。


去年までの流れがよく分からないので適当に相槌を打っていたが、まあそこそこ楽しい。


私には関係ないけどね、と思いながら聞いていると、思わぬ流れ弾が脳天にぶち当たった。



「Aちゃんが、白鳥沢の制服を着た男の人と一緒に喫茶店から出てくるところ、見てしまったで、あります……」

「……え」


心当たりがありすぎた。


申しわけございませんとごめん寝するやっちゃん。

見てたんですか谷地さん。マジか。


きゃーっと盛り上がる女子たち。

早く誤解を解かなければ。


「その男って、黒髪で前髪ぱっつんだった?」

「あ、いや、そこまでは……」


ケータイを操作して多分その日に撮った写真を仁花ちゃんに見せる。


「多分コイツだと思うんだけど」

「きゃっ、カレシ?」

「お話聞かせて♡」


詰め寄ってくる先輩方。

潔子さんもにこにこ笑っている。


「あの、塾のクラスメイトだっただけなんです、けど。この日も、期末の勉強教えろって言われて」


それだけでは信じてもらえなかったが、違います違うんですと否定ばっかしてたらやっと諦めてくれた。

しかし諦める気はないらしく、かおりさんが言う。


「じゃあさ、好きな人は?いない?」

「いや……?」



心当たりがなくもなくもなかったので白々しい反応になってしまった。

それを察知するのが異様に速いのが女子という生き物で、問い詰められた。

いや、耐えたけど。



言ってたまるか。








言ったら、叶わないような気がして。

黒尾サン。→←初日。



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作者名:にはろ | 作成日時:2020年6月20日 10時

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