リベロの理由。 ページ18
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結局試合はこっちが勝った。
向こうの方がレシーブはうまかったけど、まともなセッターいないチームに負けてられるかっての。
夜久さんの指導のおかげで、犬岡とか灰羽のスパイクも何本か取れたりした。
ツーアタックも久しぶりにめっちゃかました。
「ヘイヘイヘーイ!なかなかいい試合だったじゃねーか!俺らともやろうぜ!!」
「えっ、それは、ちょっと……」
「そうですよ木兎さん。及川さんは女の子なんです」
あ、赤葦さん……トゥンク……。
今恋に落ちる音(概念)が聞こえた。
心臓がうるさい(運動後)
五日目。
再び父兄の方々からスイカの差し入れがあったということで二日目同様スイカを食らっていた。
やっちゃんと一緒にうふふしながら食べている。幸せ。
やっちゃんの方が早く食べ終わり、トイレに行くというので送り出した。
暫しの一人時間を潰していると、誰かが声をかけてきた。
「隣いい?」
「えっあっ」
恋に落ちた(仮)赤葦さんだ……。
戸惑ってろくな返事もできないでいると、普通にしれっと隣に座られた。
あ、話聞かない人だ。
やべえイケメンだこの人。
隣でしゃくしゃくスイカを食ってるのをちら、と見やる。
やや困っているのを察したのか、話を振ってきた。
「及川さんは、なんでリベロに転向したの?」
その問いに食べる手を一旦止めて、集団の方を指し示す。
「西谷の妹の影響で」
しゃくしゃく食いながら目線で続きを促してくるので、緊張から言葉を慎重に選びながら話した。
セッターとしてスランプの時期があったこと。
その時期最後の中総体で、西谷妹が活躍しているのを目の当たりにしたこと。
楽しそうだったので思い切ってリベロになってみたこと。
本当に短く簡潔に話した。
赤葦さんは最後まで聞いてくれていた。
……めっちゃスイカ食べるじゃん。
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作者名:にはろ | 作成日時:2020年6月20日 10時