及川妹、リベロになる。２ (ページ12)

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ポーカーフェイス。ページ12

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木兎さんは手札の上を行き来しながらこちらの顔色を窺っているが、正直どれも平カードなのだから顔色の変えようがない。

「……見事なポーカーフェイス」

「流石及川徹の妹」

「あんまり関係ないと思うよそれ」

「ぬあああ！これだああ！！よっしゃあああ！！！」

手札がそろって残り三枚となった木兎さんがわくわく顔で赤葦さんに手札を差し出す。

「木兎うるせえな」

そんなこんなで黒尾さんと澤村さんが心理戦を始めてしまった。

これが長い。

本人たちは楽しんでいるようだが正直長い。

「大地そろそろ引きなよ」

「いや、此奴にだけは負けられん……！」

「そうだね、でも早く引きなよ」

さっきペアがそろって二枚になったからか、迷っているようだった。

さらに澤村さんがカードに触れるたびに少し口角を上げて煽るから、余計に迷う。

「いや、此奴がジョーカーを持っている可能性も捨てきれんからな……」

「現時点でジョーカー持ってる率一番高いの及川ちゃんだけどな」

全てをわかってニヤニヤしている黒尾さん。

本当に蹴っ飛ばしたい。

黒尾さんに岩ちゃんは効くのだろうか。
それとも夜久さんを呼んでこようか。

そう思っているうちに澤村さんが引いたようだ。

「なッ……！」

「ウェーイ！やりおったー！！」

そのやり取りを見て、木兎さんが此方を振り向く。

「えっAジョーカー持ってないの！」

「まあ、はい」

「それならそうって言ってよー！」

「言いましたよ」

「Aちゃん引いてー」

スガさんが清々しい笑顔で手札を突き出してくる。

ジョーカーでも引いたんですか。