the sprout ページ10
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大広間の四つの寮の長テーブルに、生徒たちが次々と着席していた。
高窓から垣間見える空を模した天井は、星もなく真っ暗だった。
生徒たちは夏休みの話に夢中で、他の寮の友達に大声で挨拶したり、新しい髪形やローブをちらちら眺めたりしていた。
ここでもユリは、自分が通るとき、みんなが額を寄せ合い、ひそひそ話をするのにいやでも気づいた。
ユリとハリー、ロン、ハーマイオニー、ネビルは、テーブルの中ほどに、一緒に座れる席を見つけた。
組み分けの儀式を待つ途中で、ユリの後ろからセドリックが声をかけた。
「やあ、ユリ」
ユリも挨拶を返して、それで終わるかと思われたやり取りだったが、セドリックは立ち止まった。
「ハグでもしないか」
断る理由もないので、ユリは立ち上がりハグを交わす。
そのとき、耳元で囁かれた。
「君の家に記者が行ったのか」
「……うん」
「それは大変だったな」
僕も本当のことを言えない、とセドリック。
「父にも言ってないんだ」
ユリは何を言われるのかと身構えて張っていた肩を下ろした。
随分長い間抱き合っている二人の隣をハッフルパフの女子生徒が怪訝な顔をして通り過ぎたので、二人はやっと離れた。
「お互い、大変な一年になりそうだ」
「そうだね」
ユリは別れの挨拶に困って、一瞬考えた。
そして、「がんばろうね」と少し的を外れたことを言ってしまった。
それにセドリックはハンサムに笑って、友だちのもとへ向かう。
その途中で、ハリーに何事かを囁いたようだった。
それは内緒話ではないようで、ハリーはとりあえず隣に座ったユリにだけ教えてくれた。
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作者名：にはろ | 作成日時：2023年2月18日 22時
