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翌朝……ホグワーツへと出立の朝。
二年前と同じように屋敷中慌ただしくて、ユリはみんなと一緒に押し出されるようにして外に出た。
新学期前にみんなと集まると、こうなる。
一昨年もそうだったし、去年もそうだったようだ。
なので、誰もユリ一人に注目することは無かった。
怒っていたというシリウスも、久しぶりに外に出た喜びを、犬の姿で身体いっぱいに表現している。
昨夜ルーピンがみんなに話してくれたというけれど、どうやって伝わり、そしてみんながどう思ったかは結局わからずじまいだった。
キングズ・クロス駅までは歩いて二十分かかった。
ここに来る前吸魂鬼に襲われたというハリーと、一応ユリにも護衛がついたので、集団は何十人の大所帯になった。
ユリはハリーと話をしたかったが、タイミングが見つかりそうもないので、ずっとハーマイオニーに無言でくっついている。
しかし、それも終わりがやって来た。
「私たち……えーと……ロンと私はね、監督生の車両に行くことになってるの」
ハーマイオニーが言いにくそうに言った。
ユリとハリーを気づかわしげにチラチラ見比べている。
ロンは二人を見ていない。
自分の左手の爪にやけに強い興味を持ったようだ。
返事をしたのは、ハリーだった。
「そうか、いいよ」
それで二人が去ったので、ユリはついにハリーと話さなければならなくなってしまった。
ジニーもいるのが幸か不幸か、少しは引き延ばされそうだが。
「行きましょ」
彼女は何も気にしていない風に、二人に話しかけた。
ジニーとは寝室が一緒だったので、先に話しておいたのだ。
なんと親切なことに、他のウィーズリーの兄弟には彼女が後で説明してくれることになっていた。
だから、本当に、ユリの当面の課題はハリー一人なのだ。
三人はコンパートメントのガラス戸越しに中を覗きながら、通路をゴトゴト歩いた。
どこも満席だった。
興味深げに彼らを見つめ返す生徒が多いことに、ユリはいやでも気づいた。
「日刊予言者新聞」がこの夏中、読者に対して、ハリーが噓つきの目立ちたがり屋だと吹聴していたのだ。
そして、その証拠とでもいうように、ユリのたった一言の大きな嘘が先週の一面の装飾になった。
そんな二人が未だ並んで歩いていることが、みんな不思議でたまらないのだろう。
ハリーは何も言わなかった。
ユリは自分がついた嘘をみんな信じたのだろうかと、寒々とした気持ちになった。
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作者名：にはろ | 作成日時：2023年2月18日 22時
