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ハリーの今の唯一の心配は、ユリのことだ。
ユリは談話室にいない。
きっと、自分の部屋で一人課題を片付けているに違いない。
ユリが嘘をついていることで、学校中から非難の目を浴びるのは、見たくなかった。
そう言うハリーを、ハーマイオニーが諫める。
「あら、ハリー、ユリとアンブリッジのこと、学校中のみんなが知ってるわ」
アンブリッジがユリを陰湿にイジめているのは、ユリ本人が言わずとも、みんな気がついていた。
右手の包帯だって、「難病」というのはあまりにお粗末な嘘だったし、そもそもあの羽ペンはみんなの罰則に使われていたから、もうみんなユリの身に起こっていることを察していた。
ユリもそれに気づいているので、今は建前上だけでも大人しくしているのだった。
だから、アンブリッジが防衛術の授業中に「ミス・グリンデルバルド？あの話は嘘ですよね？」と言うと、堂々と「はい、嘘です、先生」とわざとらしくはきはきと答えるようになったし、同級生はみんな笑うのを堪えるだけだった。
セドリックも大体同じだ。
みんな、昔にディゴリーという魔法大臣がいたのを知っていて、当然彼の親戚もみんな魔法省に勤めているとわかっていた。
それでも、いいことばかりではなかった。
トレローニー先生が、ついに解雇になったのだ。
ホグワーツ城を追い出されることには、ダンブルドアのおかげでならなかったが、それは学校中に大きな衝撃を与えた。
さらに悪いことに、ハリーたちの「ダンブルドア軍団」がついにアンブリッジに捕まり、その責任を負ってダンブルドアがホグワーツから出て行くことになってしまった。
よって、今のホグワーツの校長はアンブリッジだ。
そんな圧政に耐えかねて、フレッドとジョージの双子が花火を学校中にばらまいたのは、その次の日のことだった。
それは相当な被害を引き起こし、とくに爆竹がひどかったが、先生方はあまり気にしていないようだった。
アンブリッジは校長としての最初の日の午後を、学校中を飛び回って過ごした。
先生方が、校長なしではなぜか自分の教室から花火を追い払えないと、校長を呼び出したからだ。
「先生、どうもありがとう！」
フリットウィック先生が小さなキーキー声で言った。
「線香花火はもちろん私でも退治できたのですが、なにしろ、そんな権限があるかどうかはっきりとわからなかったので」
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作者名：にはろ | 作成日時：2023年2月18日 22時
