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「……ユリ？」
上がってきたのは、ハーマイオニーだった。
「ああ、ユリ！」
彼女がユリに抱きついたので、ユリの視界はふさふさした髪の毛で完全に覆われてしまった。
「マッド‐アイが、誰かが入って来たって……あなたなんじゃないかって言うから、来てみたの。そしたら……ああ！本当にあなただった。元気なの？大丈夫なの？私たち、あなたに何も教えてあげられなかったの。ダンブルドアに、教えないって誓わせられて……」
矢継ぎ早にハーマイオニーが言うので、ユリは目をまわしてなんとか彼女を抱きしめ返す。
すると、ハーマイオニーは我に返ったようにユリを放して照れたように涙を拭った。
ユリも話したいことが沢山あったが、どう話せばいいのか、謝ればいいのか、わからない。
思わず涙が滲んで、それをぐっと堪えた。
「ハーマイオニー、ちょっとだけ、二人で話したい」
「いいわ。上に部屋があるの」
ハーマイオニーについて階段を上がり、部屋に入る。
そこはハーマイオニーとジニーの部屋で、殺風景な壁や家具に女の子の荷物は随分不釣り合いに見えた。
二人はベッドに座って、ダンブルドアに連れてきてもらっただとか、「不死鳥の騎士団」とは何かとか、そんなようなことを話して暫し。
「それで……新聞のことなんだけど」
ユリは本題を切り出した。
それだけで何の話か察したらしいハーマイオニーが、緊張に喉を鳴らす音が響いた。
「先週、魔法大臣がウチに来たんだ」
「ファッジが？」
「そう。ほら、私、代表選手じゃないのにハリーたちと一緒に出てきたでしょ。その事実確認って言ってた。『日刊予言者新聞』の記者も、一緒にいた」
左の中指に触れる。
視線を下のほうに彷徨わせると、隅に積まれた新聞が目についた。
ユリは立ち上がって、それを漁り。
先週の朝刊を見つけると、ペラ、とめくって再びベッドに腰かけた。
「これ」
『共に移動キーで出現したユリさん(15)によると、それはただの事故で、ヴォルデモートの復活など根も葉もないという……』
一面でもなんでもない小さな記事の一文が、ユリの心に重くのしかかっている。
ユリはファッジが、ヴォルデモートの復活など根も葉もない、ダンブルドアやハリーが言っていることはでっち上げだと言ってほしいことに気づいていたし、そう言う他ないことも知っていた。
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作者名：にはろ | 作成日時：2023年2月18日 22時
