ページ ページ27
.
「ユリ・グリンデルバルド」
「？はい！」
授業終わり、急に呼ばれたユリは大きく返事を返した。
そして、他の三人を先に行かせてスネイプに歩み寄る。
「手を」
「え？」
「その手を見せろ」
ユリは言われた意味が分かって、わざと左手をあげた。
「なんですか？」というふうにひらひらさせて見せるが、やはりスネイプはより低い声で言う。
「右手を出せ」
ユリは暫く沈黙して、そして観念したように右手をスネイプの前に出した。
スネイプは当然、右利きのユリが授業の途中からほとんど左手しか使わなくなったことに気づいていた。
彼は断りもなく、だがそっとユリの手を覆っていた包帯を剥がし始める。
ユリももうあきらめて、大人しくされるがままになっていた。
息をつめ、そっぽを向いて彼の手が触れてくるのにじっと耐えている。
小さな白い手の甲についた、ひきつれた傷の数々を見て、スネイプはキュッと眉を顰めた。
見たことがないような、奇妙な形の酷い傷だった。
「……何をした」
有無を言わさぬ声。
嘘を言ったらすぐにバレると悟ったユリは黙りこくった。
誰もいなくなった地下牢に、気まずい沈黙が流れる。
ついに耐えられなくなって口を開いたのは、当然ユリだった。
「補習で……」
「補習？」
「あ、いや……罰則で」
「誰の」
「アンブリッジ先生……」
「何をした」
「……なにも」
要領を得ないユリの説明に、スネイプの眉間の皺がどんどん深くなっていく。
もうユリは観念して全部話した。
スネイプは途中でユリの手を放し、なにやら棚から薬品を取り出し始めた。
そしてユリが話し終えるのを待ち。
「あ……」
再びその傷ついた手をとって、薬を丁寧に塗り込んだ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 819人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：にはろ | 作成日時：2023年2月18日 22時
