progress...? ページ26
.
十二月がますます深い雪を連れてやって来た。
五年生の宿題も雪崩のように押し寄せた。
ハリーの罰則はとうに終わっていたが、ユリの“補習”は定期的に開催された。
どうも、ユリが抵抗も告発もしないとわかって味をしめたらしい。
あとは、ユリがなにか癇癪を起こして問題にできないか虎視眈々と狙っているように見えた。
週に一回か二回、アンブリッジの部屋に呼び出されて、そのたびに「グリンデルバルドが用いた手法とその欠点」だの「グリンデルバルドに対する魔法省の対策」だのと一時間半かけてレポートを書かされ、それをまた三時間くらいあの羽ペンで複写させられた。
レポートを書くときは細心の注意を払わなければならなかった。
たとえば、「グリンデルバルドの敗因は何か？」という課題のときは、ダンブルドアよりも魔法省の貢献が大きいように書かなければ、アンブリッジの合格はもらえなかった。
たまに「半獣の危険性」とかいう課題もあって、それはユリの気分を本当に悪くしたが、それでも彼女は黙ってこなした。
アンブリッジの部屋では、「こんばんは」と「おやすみなさい」しか言わなかった。
そんな生活が学期中続いたので、ユリはもう諦めて、難病にかかったとか適当な事を言って包帯を手にぐるぐる巻きにまいて過ごした。
しかし、休暇前最後の「魔法薬学」で、ついに限界が来る。
「あっ」
「魔法薬学」教授のスネイプは、その声がしたほうを勢いよく振り返った。
この授業において、「あっ」は爆発か毒ガス発生の合図であることが多い。
十四年ここに勤めて、スネイプは「あっ」とか「うわ」とか少しでも聞こえると一瞬でそちらに注意を向ける習慣がついていた。
今回は、そんな危険なことにはならなかったが。
生徒が、大鍋の中に計量匙を取り落しただけのようだった。
しかし、スネイプは眉を顰めた。
その生徒というのはユリ・グリンデルバルドで、この学年で最も優秀な生徒だったからだ。
彼女が調合中に不注意でミスをすることなどありえなかった。
結局ユリはそのミスを自分で取り戻し、あとはなんなく調合を終えたが。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 819人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：にはろ | 作成日時：2023年2月18日 22時
