【HQ】ゴミ溜め四人衆、見参。【稲荷崎】

ページ ページ8

.

北さんの説教中に私の名前が出てきてはたまらない。

懇切丁寧に、基本中の基本から教えてやった。

これで赤点取ったらしばく。


「数学の先生誰？」

「横川」

「じゃあ最初の五分だけでいいから起きときな。あの人最初に教えてあとは演習だから」

「そうなんか。知らんかったわ」


高校生活三か月で、授業と教師の特徴は全部捉えた。

アイツの授業は寝ちゃダメ、アイツは大丈夫、とか。
4月は起きてたんだけどね、ちょっと私も眠気が。

さらには途中で水飲んでいいかとか調べ物にスマホ使っていいかとか、いろいろあるから大変だった。


その後も教えながら課題を進める。

一時間くらいで問題集は終わらせた。

まあちょこちょこ答え見てたけど。


「はっや」

「噂はほんまもんやな」

「何噂って」


私が十何ページ分終わらせている間に二ページしか進んでいない宮兄弟が丸つけを覗き込んできた。

早く自分のやれ。


「鈴木んとこの奴がな、授業中爆睡で課題もろくに出さんのにテスト余裕の奴がおる言うてたんよ」

「地頭がいいので。てか課題ちゃんと出してるよ、流石に名指しで注意食らったし」

問題集一周すればそこそこの点数は取れるでしょ。


とりあえず早くやれ、と急かそうとすると、地響きみたいな音が静かな図書館に響いた。

私じゃない。
そう弁解するまでもなく、視線が一点に集まる。








「……腹減ったな」








顔色一つ変えずそう言い放つこいつは、どんなメンタルをしてるんだ。









.

次ページ→←前ページ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す