グリフィンドールの王様 ページ8
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グリフィンドールは、勇気と度胸と騎士道の寮である。
気の強いものが多く、反骨心を忘れない。
狡猾・野心・同胞愛のスリザリンに言わせれば、独善的で自分勝手。
気に食わない奴らだ。
そんな対立がひしめくホグワーツの廊下で、小さないじめが行われていた。
とはいっても、身長165cmの女の子を155cmそこそこの男の子たちが4人で囲ってやいやい言っているだけなので、まったく怖くない。
具体的に言うと、グリフィンドールの寮長を同じグリフィンドールの新入生が詰めているのだ。
怖くないが。
誰も助けようとはしなかった。
頼りない寮長をグリフィンドールのヤンチャたちがいじめるのは、毎年この時期の恒例と化していた。
湿度の低い悪ガキはグリフィンドールに集まる。
彼らは数日見ていて、ガーベラ・ゴーントという寮長にイライラして仕方なくなるのだ。
寮長というのは、威厳があって、誰よりも強くて、すべての寮生から尊敬される存在。
ダンブルドアや、あのマーリンだって、それぞれの寮の寮長を務め上げた。
だのに、ガーベラ・ゴーントときたら、いつもオドオドビクビクして、よく授業をサボるし、自室に引きこもってほとんど出てこない。
よって「ガーベラ・ゴーントは寮長にふさわしくない」だの「絶対マクミラン先輩がやった方がいい」だのと友だちや先輩に言って、さらに人混みの廊下のど真ん中で本人に突撃しているのだった。
それを、毎年のことであるのにガーベラはまったく慣れることができず。
「す……」「そ……」「ス……」などと言っていた。
顔も体もカチコチにして、サ行の一文字しか言えなくなってしまった彼女を、ある生徒は面白がり、ある生徒は無視し、ある生徒は気まずげにしながら通り過ぎた。
気まずげにしているのはまさに自分があの悪ガキだったことがあるヤツらである。
そしてみんながそうするのは、自分が助けなくてもすぐにヒーローがやって来ると知っているからだった。
彼女の王子様である。
それに、ガーベラが怖がっているのはイジメではなくて人間なので、結局他の生徒が助けに入っても意味がないのであった。
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作者名：みや。 | 作成日時：2023年1月31日 12時
