ページ ページ9
.
足音だけが響き、一度怪訝な顔の管理人のフィルチとすれ違い、辿り着いたのは校長室。
「フィフィ・フィズビー」
可愛いお菓子の名前を仏頂面のスネイプが低い声で呟いたのがなんだかおかしくて、ユリは顔を背けてちょっと笑った。
中に入ると、ダンブルドアが椅子に座ってにこやかに二人を出迎える。
彼はスリザリンの寮監であるスネイプとグリフィンドール寮生であるユリのことを、珍しい組み合わせだとは思わないらしい。
なんでもお見通しのようだった。
「校長。ミス・グリンデルバルドが、あなたに相談があると」
「ほほう！悩みとは良いものじゃ。ほれ、言うてみい」
朗らかに答えたダンブルドアだったが、ユリのぽつぽつと語るにつれて笑みは消えていく。
グリンデルバルドの予知能力の高さは、彼が一番知っていた。
しかし、芽生えた一抹の不安を噯にも出さずに、ダンブルドアはユリを励ましてくれる。
「この学校に墓場は無い。……『禁じられた森』に入らなければ、の話じゃが」
その冗談めかした物言いに、ユリは気まずげに笑った。
ユリ自身入ったことはないが、友人たちが何度も入ってその度に危険な目に遭っているのだ。
「今夜は、眠れそうかの？」
「はい、大丈夫です」
その答えに、ダンブルドアは満足げに頷く。
ついでに、置いてあったレモンキャンデーをくれた。
心に留めておこう、と言われて、それでようやくホッとして頭を下げる。
「わしはちとセブルスに用がある。フォークスに寮まで送らせよう」
フォークスは不思議な歌を歌いながらグリフィンドール塔まで着いてきてくれた。
「ありがとう」
そう言うと、なんでもないように一つ鳴き、空中で一回転して窓の外へ去っていく。
消灯時間はとっくに過ぎていた。
ハーマイオニーが寝返りを打ったような音が聞こえる。
舐めていたレモンキャンデーをガリ、と歯で砕いて、ベッドに横になった。
すると、すぐに眠くなる。
何も考える暇も与えられずに、ユリは深い眠りの中に落ちていった。
.
The Triwizard Tournament→←前ページ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 837人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あまね(プロフ) - いっぱいちゅき！ (2023年2月12日 23時) (
レス) @page46 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
ダイアナ(プロフ) - 不死鳥の騎士団編がみたいだけなのにTwitter運営さんはそれを許してくれないようですかなし (2023年2月12日 14時) (レス) id: 29bd455e8b (このIDを非表示/違反報告)
ダイアナ(プロフ) - みや。さん» ま、また凍結されてますね、、、ついてないですね、、、🥺 (2023年2月12日 14時) (レス) @page46 id: 29bd455e8b (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - みやさんの不死鳥の騎士団見たいですね(๑•̀ㅁ•́ฅ✨ (2023年2月11日 19時) (レス) @page46 id: b396ddc2bf (このIDを非表示/違反報告)
みや。(プロフ) - ダイアナさん» 一週間が経ってしまったので、移行しました。よろしくお願いします🙌 (2023年2月10日 13時) (レス) @page46 id: f8ad011ce4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みや。 | 作成日時：2022年9月21日 19時
