10：妖まつり ページ10
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Aが童磨と仲良くなったのは、それから程なくしてだった。
それを初めて知った朔久は目を剥き、そして知らぬ間に単独行動したらしい妹をこっ酷く叱った。
なんだか一緒に風呂に入ったらしいが、経緯がよくわからん。
童磨の方は二人が無惨の血子らしいと風の噂で聞いて、面白がって手を出さないでいるようだった。
気づけば、双子がここに来てから一年が経っている。
双子が混血であるのを知ってから、彼はよくお菓子を持ってやってきた。
ナントカ教の教祖をしているらしく、たくさん手に入るが己は食えないので、双子に餌付けている。
朔久の人の食い物をあまり好まないのも承知して、たまに無惨に内緒で生肉を持ってきてくれた。
獣の肉である。
人間の肉は、朔久自身でキッパリ断った。
そんな感じで滅茶苦茶に人が良いお兄さんなので、Aが童磨を慕うまで時間はかからなかった。
朔久は未だ警戒しながらも肉をムシャムシャ食っている。
「童磨サンも大変だね。親父無茶苦茶だもんね」
「そうさなあ。でも素晴らしいお方さ。酒が呑めないのは残念だけど」
「酒？今度盗ってこようか？」
「そうじゃない。鬼ってのは、酒が不味くなっちまう体なんだよ」
「親父この前美味そうに呑んでなかったっけ」
「呑んでた呑んでた」
「えーっ。ずるい」
そんな下らん会話を無惨が出払っている間にして、帰ってくると思ったら解散である。
そこのところに関してはAが鋭かった。
「お。親父帰ってくるよ」
「そんじゃ、また来るね。あ、お小遣いあげようね。意味ないけど」
それで、童磨は今日も帰っていった。
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作者名：にはろ | 作成日時：2021年5月24日 16時
