検索窓
今日:35 hit、昨日:21 hit、合計:28,304 hit

35 ページ35

.

「五目うどん。シイタケ抜いてね」

「あいよ」


浅草に着くなり無惨に放ったらかしにされているAは、街の外れにあるうどんの屋台に腰を下ろした。


さっきから酔っ払いに絡まれるわ、走ってきた少年に突き飛ばされるわで散々なのである。

飴細工落として粉々になったし。許さんあいつ。


うどんを出され、外に座っている女の子が気になったので隣に座った。


なぜか竹を咥えている。

人待ちか?と思いながら話しかけた。



「君も鬼なん」



無反応。


え?アチキの心は折れそうなんだが。

さっきの少年も然り。世界、自分を認識してない?

アッそうですか結構です〜。



Aはうどんを食い終わりごちそうさま、と席を立って、再び街の方へ歩き出す。


途中で突き飛ばしてきた少年とすれ違った。

見たところ、さっきの女の子と兄妹のようである。

どうりで!



ケッ、と転がっていた石ころを蹴飛ばした。


そうして暫く街を歩き、今度は平和に浅草を満喫する。

なんだか警察が集まっている場所があったが、無視した。

関わったら面倒になるのは目に見えている。


日付が回りそうな頃になって、Aは無惨を探した。

アイツ、集合場所も決めずに消えたし、なんならもう私を置いて帰っているかも。



たくさんお小遣いくれたし、もうこのままトンズラしようかな、と思っていると、発見した。






「うー…………わ」






路地裏の暗闇の中、ものすごく機嫌が悪そうである。


や、悪そうなんてものじゃない。

今なら殺される自信ある。


「マジか……」と様子を伺おうとしたが、向こうの気づくのが早かった。


ずかずかとこちらに近づき、Aの髪を引っ掴んで路地裏の壁に押し付ける。

そして、口を開く。




「私の顔色は悪く見えるか?私の顔は青白いか?病弱に見えるか?長く生きられないように見えるか?死にそうに見えるか?」




「……見えん」




無惨の不機嫌は今に始まったことではない。

むしろ上機嫌の方が怖いまである。


だから、Aはこの状況でも「何言うてるんお前」的な態度で答えた。





.

36→←34:束の間。



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (40 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
67人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 鬼舞辻無惨
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:にはろ | 作成日時:2021年5月24日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。