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そして、ある日。


「良かろう。私も行く」


了承が出た。

しかもついてくるというのであるから、朔久は万歳をした。



「ヤッター!親父いれば万人力!」

「……何企んでる?」



そう言ったAの勘は正しかった。

彼女は仕方がないと山へついてきたことを後悔することになるのである。


熊を狩りに来たはずの親子は山を駆け下りていた。



「来るんじゃなかった!こんなバケモンいるとか聞いてないんですけど?!」

「おい親父テメエ知ってたな!」

「カカカ」



無惨は愉快に笑った。


山にいたのはだいだら法師である。

ダイダラは日ノ本にいくつかいるが、コイツは最近現れた荒法師であった。


猗窩座で歯が立たんかったというので、無惨が腰を上げたというわけだ。

双子を道連れにして。



もう山のふもとだった。

前には人里。


朔久は振り返った。

もう、仕方がない。



「オルァ!」



少年は巨漢に殴りかかった。


朔久は血鬼術を使えない。

人を食ったことがないからだ。

だから、底なしの体力と凄まじい威力でだいだら法師に拳を打ち込み続けるのだった。


無惨はついてきたくせにそれを傍観するのみ。

AはAで自分が足手まといになりそうなので無惨の隣にちょこんと立って見ていた。


それにキレるのは朔久である。



「お前ら、は、働けよッ、ギャッ」



ダイダラの太い腕に朔久が弾かれたのを見て、Aは不安げに無惨を見上げた。


すると無惨もAを見下ろしている。

面白がっているのか嘲笑っているのか、よくわからないような笑みだった。



「ホラ、お前も行きなさい。熊鍋が食いたいのだろうが」

「私別に熊鍋食べたいって言ってないよ」




言いつつAも飛び出した。





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作者名:にはろ | 作成日時:2021年5月24日 16時

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