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「無理！無理無理無理無理！」
「自己紹介も碌に出来ヌのに！！」
「鬼！先生の極悪鬼！！」
「極悪鬼は君たちの父親だね。ホラ、つべこべ言ってないで行くんだ」
半月が経ち、双子は外つ国に再び置き去りにされた。
可愛い子には旅をさせよ、語学研修である。
一ヶ月で叩き込むというのにはこれも入っているらしい。
成立間もなくして隆盛のプロイセン王国。
その地に降り立ち、九尾は二人の背を押した。
「さあ、"
「それ何語だよッ。ですか？！」
「Haha. Toi toi toi! 」
それで、九尾は本当に姿を消し、異国の地に兄妹ポツンと佇むのみであった。
夜だというのに向こうでは明かりが仄めき、多くの人間の気配がする。
「……拉丁語でしょ。さっきの」
「は？あン人幾つ言葉喋んだよ」
九尾は、千年生きてきたとあってさまざまな言語を操った。
社の書庫は中華や阿蘭陀、果てにはふにゃふにゃとよくわからん文字が書かれた書でギッシリであった。
「明かりの方行く？」
「……メシはあるだろうからな」
結局飯である。
二人は明かりに向かいてくてく歩き、途中デカい馬が引く馬車とすれ違ってそれをガン見し怒鳴られたり、どこからか飛び出してきたガリガリのガキ集団に追っかけられたりした。
「ご飯食べてないのかなアイツら」
「ほっとけ」
夜の街を駆けて明かりへと近づく。
また途中何やらカッチリした格好の男たちが怒鳴りながら追いかけてきたが、無視して壁を飛び越えた。
「お。あるあるよくわからん肉」
「え？あれ肉？」
「おう。匂いする」
朔久は嗅覚が犬並だった。
どう考えてもあすこの食物の匂いが香ってくるはずもないのに、それを嗅ぎ取るのである。
それにしても、あの人間たちは食事に見向きもせず、男女でくっついて踊っている。
聞き慣れぬ音楽が微かに聞こえてきていた。
「どうする？あのビードロ破る？」
「絶対にやめろ」
朔久は一蹴し、辺りを見回す。
見張りはさっきので撒いたらしい。
あとはどう侵入して食い物を失敬するかだが。
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作者名：にはろ | 作成日時：2021年5月24日 16時
