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1:序 ページ1

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人喰い鬼が、母親の腹から生まれてくることはない。

群れて行動することを嫌ううえ、鬼は生殖機能がないからだ。

仮に鬼が身籠ったとしても、その時点で反逆とみなされ血の呪いが発動するだろう。



しかし、そこには例外がある。



さて、人喰い鬼の頂点たる鬼舞辻無惨は、年比を経ても気配すら見せない「太陽を克服した鬼」を待ちかねていた。


戦国時代、人間の姿に擬態して武家の子として居候をしていた頃、形式上の弟が生まれた。

養子であるが家庭に温かく迎えられていた無惨は、その場に立ち会った。

母親から赤子が生まれ出てくる様を見て、思ったのだ。

実の子という手段が、あった。


鬼になっても、(しもべ)の鬼たちと違い生殖手段は失っていないはずだった。

早速試さなければ。


子を作るにあたって、無惨は人間の娘を相手に選んだ。


無惨の実子となれば、成長して無惨の強さを超えることもありえなくはない。

少しでも鬼の血を薄め、かつ陽の光に耐性がある鬼を作るためである。


最初の人間は遺伝子を受け取った瞬間に死んだ。

無惨の血を与えた時と同じ反応だった。


次の人間は、腹の中で赤子が死に、それが原因で命を落とした。

そのまた次の人間は、いつまでも子を孕まなかったので殺した。


はじめて成功し、子供が生まれてくると、無惨はすぐさま陽の光を当てたが、灰になって死んでしまった。

次に成功したとき、陽の光を当てても死ななかったので大喜びで血を与えると、細胞が崩壊を起こし死んでしまった。


その次に成功したとき、陽の光を当てても死なず、血を与えずに様子見で無限城に赤子を置いておいたが、赤子の癇癪に無惨が耐えかね殺してしまった。


そんな事の繰り返しで、時は流れ江戸時代中期。

赤穂の何やらが収まって、富士の山が火を噴いた頃である。


もう何人目かわからない人間の娘と、十何度目かの身篭り。


その娘はお多喜といい、大変美しく気立てもよくて、次の大安の日に隣町の呉服屋の息子と祝言を上げる予定だった。

両家の関係は良好で、お互い好き合っていたところを無惨が攫ったのである。


無論、そのような事情を無惨が知る由もない。


お多喜は必死の抵抗を見せたが、無惨は気にせず遺伝子を渡した。


そのまま順調に事は進み、どこかもわからない小さな小屋に閉じ込められたままお多喜は子を産んだ。
男女の双子だった。





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作者名:にはろ | 作成日時:2021年5月24日 16時

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