及川妹、リベロになる。 (ページ29)

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シャボン玉。ページ29

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三対三のAB戦が終わって、休憩しているとき、事件は起きた。

追加のドリンクを作ろうと外の水道に行くと、何故だかシャボン玉がふわふわ飛んでいる。

「……なにこれ」

「シャボン玉部でも新設したんじゃない」

面倒事の予感を察知したらしいちひろが無視するように元気組二人を促す。

もちろん、それが伝わるはずもなく。

「ちょっと行ってみる！」

「すぐ戻って来るねー！」

「あっちょ、待っ……」

引き留めても無駄ですあの二人は。
合宿の直談判然り音駒の不審者(仮)然り。

とりあえずこちらは男子のAB戦が終わるまでに作り終えなければならない。
テキパキと単純作業をこなしながら、ちひろが口を開いた。

「……リベロにトス上げられると私の仕事無くなるんだけど」

先ほどのAB戦の話だ。

徹から青城のリベロもセッターから転向していて、たまにトスを上げることもあるという話を聞いた。

それを思い出して、先輩がレシーブをして体制を崩したとき、アタックラインから踏み切ってトスを上げた。

「大丈夫。さっきのはまぐれだから」

まだ全然体幹も安定してないし、オープンだったから花那がうまく合わせてくれた。

「でもすぐに速攻できるようにするね」

「レシーブ練習しろ」

「……ハァイ」

「Aー！ちひろー！！」

「ハァイ！！！」

反射で返事をしてしまった。

ちひろがわかりやすく顔を歪めている。

なんとなく結末は予想できた。

シャボン玉の流れてくる部室棟の裏には、年季の入った洗濯機がある。

二人でため息をついて、そちらへ向かった。

そして、案の定。

「まあなんとなく予想はついてたよね」

「だからやめとけって言ったのに……」

そこには、洗濯機が泡をふいて佇んでいた。

事件性が凄い。