不機嫌の理由。 ページ13
.
「……ただいま」
「おかえり」
いつもより明らかに元気のない、というか不機嫌そうな徹の声に、予想通りの事が起きそうだと身構える。
火を止めて玄関まで出た。
そこには案の定、仏頂面をした兄、及川徹の姿があった。
「どしたの」
理由は大方わかっているが、一応聞いてみる。
しかし、徹はご飯が先、と洗面所に手を洗いに行ってしまった。
本当に全く可愛くない兄だ。
夕飯の間は、今日は学校がどうだったとか、岩ちゃんがどうしただとか、足のケガの具合とか、普通の話題で気まずくなることはなかった。
まあ、一時期めちゃめちゃ気まずい時期あったものね。
ご飯を食べ終えたら何か言われるかと思ったが、徹がそのまま自室に戻ったので少し拍子抜けした。
私も宿題を済ませようと思って部屋に入り、机に向かう。
暫くして九時を少し過ぎた頃、ノックの音と、先入るよという徹の声が聞こえた。
返事を返し、徹が風呂から出たタイミングを見計らって洗面所に入る。
たっぷり時間を使って入った後、パジャマに着替えて下に降りた。
すると、ソファーにはまだ徹が座っていた。
テレビを然程興味もなさそうに眺めながら座っている。
なんか変だなと思いながらドライヤーをコンセントに差し込むと、徹が立ち上がった。
「俺がやるよ」
「……は？」
「だから、乾かしてあげる。Aの髪」
そんな不機嫌顔で言われても困るわ。
圧に負ける形で大人しく乾かされる。
乾かし終わった後、礼を言ってつけっぱなしのテレビの前のソファーに座る。
高校生になったのもあるのか、平日はなかなか面白いと思う番組が無い。
眺める程度にテレビを見ていると、急に電源を切られた。
「えっ」
驚く私の横に徹がドカッと座る。
そして、単刀直入に切り出した。
「飛雄から聞いたんだけどさ。……セッターやめたって、ホント？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 253人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：にはろ | 作成日時：2020年3月5日 18時
